せっけんメモシート(1)
「せっけん」と一口にいうけれど…

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●用語の混同・混用も? |
一般的に、石けん、洗剤、洗浄剤などの言葉は、どれも何らかの汚れを落とすことを目的とした剤であることを意味しています。これらの語は慣用的・慣習的に使用されていて、明確に使いわけされていないため、かなり混同・混用されているのが実情です。
「石けん」と「石鹸」と「せっけん」「セッケン」…。英語では「Soap」ですが、日本語の表記は、漢字とひらがな・かたかなすべて動員してさまざまに表記されています。もちろん、「石鹸」の「鹸」の字が当用漢字にないというので、「石けん」と不自然な表記にしたということもあります。
その同じ音を表記で使い分けた名称には、一部にはそれぞれの違いをなんとかにじませたいという配慮が、あるいはこめられているのかもしれません。 |
●せっけんも洗剤のひとつ? |
まず「洗剤」という用語は、一般に「身体以外の物質、すなわち、繊維、食器、調理器具、住宅や家具などの汚れを落とす剤」を示しています。この場合は、かなり広く身体洗浄剤以外の汚れを落とす剤一般の意味に使われていて、石けん、複合石けん、合成洗剤を含んでいるわけです。一方、「身体の汚れを落とす化粧石けん(浴用・洗顔)・身体洗浄剤(ボディシャンプーなど」をいうときには、「洗剤」の意味も字句も使用されていません。身体を洗うのかそのほかのものを洗うのかで、明確に区分されているのです。しかし、「石けん」はこのどちらにもあります。 |
●成分にかかわらず…? |
手や身体を洗う「石けん」の場合は、製品の成分にかかわらず、「せっけん」とかSoapと呼ばれることが多いのです。これは英語圏でも同じで、事実、国際貿易(輸出入関税)の国際間の取り決め(Harmonized System)でも、「Soap=せっけん分(脂肪酸塩)を含む・含まないは問わない」と、定められています。
一方、日本国内では、人の身体に用いる製品については、薬事法が適用され、上記と同様に、成分による分類はないのですが、「家庭用のモノを洗うことを目的とした製品」についてのみ、家庭用品品質表示法という別の法律で、配合されている界面活性剤の種類と量によって、厳格に区分させているのです。
これが混乱に拍車をかけている、要因のひとつとなっているともいえそうです。 |
●せっけんは界面活性剤? |
家庭用品品質表示法の定義では、「界面活性剤が石けんのみ」「石けん以外の界面活性剤」という表現がでてきます。どうやら、界面活性剤のなかにも石けんがあるらしいのです。これはいったいなんだ、ということです。ここではとりあえず「らしい」を、頭の隅においておきましょう。
わかりやすい形状分類からいえば、いちばんなじみぶかい固形のいわゆる石けんと粉石けんと液体石けんと、三種類にわけられ、そのほかに原料の界面活性剤にも石けんとよばれるものがあるらしいというわけです。
ひとつの言葉で表されていてもいろいろなとらえかたがあり、とらえたと思ったらつるりと滑ってしまう、それがせっけん…?
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