せっけんメモシート(9)
“手づくり石鹸”では法律違反にも注意
化粧石鹸などの取り扱いには薬事法の規制も受ける
|
●手づくり石鹸に許可が必要な場合 |
化粧石けんは、薬事法の対象である「化粧品」に分類されます。その製造と販売にあたっては、厚生労働大臣の許可が必要です。
さらに薬用石けんの場合は「医薬部外品」として、製品ごとの製造承認が必要なうえ、その成分についても基準に準拠していなければならないのです。化粧石けんの許可を取っていない場合は、浴用にも洗顔用にも使うことはできません。
|
●家品法の表示義務も |
台所用や洗濯用の石けんは、薬事法の適用は受けませんが、代わりに家庭用品品質表示法という別の法律による表示義務が必要になります。
つまり、 薬事法の対象外製品であっても、家庭で使用される「台所用や洗濯用など」の製品は、「家庭用品品質表示法」の表示義務があって、トラブル発生の場合に誰が責任を持つのかを明示していなくてはならないのです。
|
●趣味の範囲ならまだしも |
手づくり石鹸の問題点のひとつは、薬事法に抵触するおそれがあることです。個人が自分が使う分をつくって趣味的に楽しむうちはまだいい、としましょう。
しかし、どうしてもたくさんつくってしまうし、人にもその“成果”を触れ回りたくなるので、これを人に配ったり、なかにはフリマやネットで販売する人まででてきます。許可なく販売したり不特定の人に配ったりすれば、その時点で法律違反になります。 |
●トラブルのタネにもなる |
さらに、実際にこうした「廃油からつくられた石けんを購入して使用したところ顔が腫れた、販売元に連絡しているが電話がつながらない」といった事故クレームの相談が、PL 相談センターにも寄せられています。
どうしてもやりたい人は、個人でつくって使用する範囲にとどめ、友人にあげたりすることも、トラブルを避けるためにやめたほうがいいでしょう。
|
●いちばん大きな問題は |
もっと根本の問題は、手づくり石鹸をつくっている人たちが、自分たちのしていることが、いいことだと思い込んでいることでしょう。善意でやっているだけに、思いこみも強く、その結果がいっそう困ったことになる一面もあるのです。
そういった行為が、勧められることではないという認識が、一般に希薄なのも事実です。
このことは、これを陰に陽に推奨し支援してきた各自治体などの公共機関の責任も大きいといえます。
自治体やその関係団体のイベントや印刷物などで、廃油石鹸づくりを「環境にいい」として、PR するのはもうやめなければなりません。
市民が参加して環境に貢献する方法には、もっと有効な方法が、いくらでもあるのですから。 |
 |
←前へ 次へ→
|