1909年に日本初の「段ボール」を製造し命名したのは、当社の創業者井上貞治郎です。当時流通箱といえば木箱の時代でしたが、段ボール箱の重量は木箱の約13分の1と軽くて扱いやすく、戦後復興期には木材が希少となったこともあって、次第に世の中に受け入れられていきました。
当社の製紙工場では、原材料として、リサイクルで回収された段ボール古紙が98%を占めており、建築廃材などから作られるパルプを2%ほど加えて、段ボール原紙を生産しています。段ボールは、リサイクルの優等生なのです。
また当社では、段ボールの厚さを一般的に用いられてきた5mmから4mmに薄くすることで、段ボールのさらなる省資源化をすすめてきました。洗剤業界でも容器の軽量化やパウチ容器の普及を推進されていますが、そうした製品を保護し安全に運ぶためには、段ボールの強度も重要です。薄くて丈夫なものにするため、当社では中しんとなる波形紙の形状や、箱にしたときの構造などを地道に研究しています。2013年には、厚さ2mmの独自規格の段ボール「デルタフルート」を開発しました。
段ボールの厚みが減り、包装が簡潔になれば、保管やトラック輸送の効率が向上してCO2排出量が削減できます。店舗では、開梱・陳列の手間が減る“省力化”の効果も期待できます。スーパーなどでは以前から、カッターを使って段ボール箱に窓をあけ、中の製品が見えるようにしたうえで積みあげるといった陳列が行なわれています。そこで、従来より薄い段ボールの特徴を活かし、手で素早く開封し美しく陳列できる段ボールケース「RSDP」を開発し、開封と同時に窓も綺麗に開くような工夫や、表面を白色にして印刷性と見栄えを良くしたりと、流通現場の効率化と売り上げアップにも貢献しています。
このように、当社は少ない資源で高い付加価値を生み出すことを目指し、“Less is More.”を合言葉にさまざまなイノベーションに取り組んでいます。最近も輸送時にこすれて食品の包装に穴が開かないように特殊コーティングを施した段ボールや、余分な隙間をつくらない包装システムなどを開発、段ボールだけでなく、紙器、軟包装から重包装にいたるまで、包装のすべての課題を解決しています。また、そうした付加価値の高い包装材を生産するために、工場の生産設備の開発や、太陽光発電などの環境配慮設備への投資も積極的に行なっています。
段ボールは、包む製品のサイズや特性に合わせてすべてオーダーメードで作られています。日本の段ボールが誕生して106年が経ちますが、これにとって代わるものが出てこないのは、エコで循環型社会に貢献する包装材であることに加え、小さなニーズにも技術力できめ細かく対応してきたことが大きいのではないでしょうか。また、近年は、“包む”“運ぶ”ことだけにとどまらず、店舗での“並べやすさ”や消費者に“選ばれるデザイン”という面にも力を入れています。これからも日本の流通事情にマッチした革新的なパッケージをお届けしてまいります。
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