大日本印刷の包装事業は、戦後復興期に、タバコやキャラメルの紙箱、特殊印刷を施した即席麺の袋包装などからスタートしました。比較的早い時期から、紙や各種のフィルム、プラスチックを扱い、ガラス瓶や金属缶に代わる薄くて軽いパッケージを実現してきた歴史があります。
初期に力を入れたのが、練り歯磨きの金属チューブからラミネートチューブへの転換でした。プラスチック素材や紙などの張り合わせ方を調整して、指で楽に押し出しやすいチューブを作ると、やがて倒立型が主流になり、今度は、中身がすべり落ちやすくするためにつぶれにくいものが必要とされました。このように、開発条件はさまざまで、しかも常に変化するので、課題の解決には毎回苦労します。
包装容器というのは、中身と切り離して考えることはできません。意外に思われるかもしれませんが、当社は中身を詰める充填機の開発も得意としています。充填は、中身の製造メーカーが行なうので、当社はたとえば、ポーションミルク用のシートと、無菌下で充填ができる特殊な機械を一緒に提供します。また、PETボトルのようにかさ高い容器を、輸送時には小さくできたら効率的です。そこに着想し、試験管のような形のPETボトルのプリフォームを納品先の飲料メーカーでふくらませて無菌充填するシステムを開発、世界で初めて導入しました。包装システム全体を設計することで、容器を小さく・薄くしたり、効率面を改善したりと、コストと環境の両面でメリットが提供できるのです。
洗剤の容器では、詰め替え用パウチがかなり普及し、本体ボトルの再利用による省資源やゴミ削減に貢献しています。また、パウチ容器の素材から環境配慮をしようと、枯渇資源の石油の代わりに、サトウキビ由来の原料を一部使用したバイオマスPETフィルムなどを開発しました。廃棄後の容器を焼却する際はCO2が排出されますが、植物は光合成によりCO2を吸収するため、全体のCO2は増加しません。バイオマスPETフィルムの各製造プロセスを調査し、全ライフサイクルにおけるCO2排出量を算出したところ、石油由来の従来品に比べて10%削減できることもわかりました。パウチ容器の需要の高さを考えれば、これは大きな効果です。
また、アルミを気化して被膜したアルミ蒸着バイオマスPETフィルムの開発も世界で初めて成功し、2014年8月に販売を始めました。酸素や水を通さず遮光性にも優れていて、バイオマス素材も従来品のように広く使える時代になったといえます。このPETフィルムのほかにも、PEフィルムや成型品等のラインアップがあります。
今後も独自の発想から、新しい価値につながるパッケージを作り続け、提案していきたいと思います。
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