77年前の創業時から国内生産を続けている活性白土は、モンモリロナイトという粘土鉱物が原料で、石鹸洗剤とはなにかと縁があります。昔は髪の洗い粉などに用いられ、現代では界面活性剤の原料油脂から不純物を吸着除去するなど、精製剤として白土が活躍しています。当社はこの白土を基軸に、応用物であるシリカ・アルミを中心とした多種の化学品へと枝葉を広げてきました。粉末洗剤のビルダー(洗浄助剤)、ゼオライトもそのひとつです。
洗濯には水がつきものですが、水や汚れに含まれる硬度成分のカルシウム・マグネシウムイオンは界面活性剤の洗浄力を著しく阻害します。そこで、水軟化剤としてゼオライトなどを洗剤に配合しています。ゼオライトには高いイオン交換能力があり、硬度成分を捕捉して軟水化します。

ゼオライトは多種ありますが、洗剤用には、白土から合成したアルミノケイ酸塩を、ひと粒約1ミクロン程に調整したものを開発しました。ごく微細で、粉末洗剤をサラサラの状態に保ち、水中では洗剤成分を引き連れて素早く均一に分散するので効率的に軟水化できます。落ちた汚れが布に再付着するのを防止する効果もあります。
当社では合成洗剤が登場する以前から、ビルダー用ゼオライトの研究を始め、1960年代に入って、陽の目を見ることになります。瀬戸内海や琵琶湖などで水質汚濁による問題が起き、その一因といわれたリン分が、洗剤の水軟化剤として使われていたため、その代替品に、イオン交換性を持つゼオライトが選ばれたのです。
しかし、ゼオライトは水に不溶性で、粉末洗剤への配合も初めてでしたから、粒子を微小に揃える改良や、環境安全性の検証も必要でした。粉末洗剤の無リン化を推進する日本石鹸洗剤工業会や、欧州のゼオライトメーカーにも協力をあおいだ末に、生産再開に漕ぎつけることができました。日本における迅速な洗剤の無リン化に貢献できたのも、当社の白土精製技術や粒度コントロール技術によるところが大きいと自負しています。その後は、国内で粉末洗剤が減少する一方、東南アジアでは引き続き需要が高いことから、ビルダー用ゼオライトの生産拠点を1989年からタイに設け、供給を続けています。日本ではビルダー用ゼオライトの技術を活かし樹脂添加剤、触媒、吸着剤と多岐にわたり関連製品を生み出しています。
また、当社の白土を応用した別の例として、近年の“柔軟仕上げ剤入りの洗剤”があります。粘土鉱物の機能を利用し、繊維に柔軟性を付与する技術を開発したことで、それまで不可能だった柔軟剤と洗浄剤の同時配合を実現しました。今後とも研究開発に注力しながら、独創的な提案をしていきたいと考えています。
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