非イオン(ノニオン)界面活性剤は、衣料用液体洗剤などへの利用価値が高く、相対的な使用量が増えていると聞きます。当社が製造するEO(酸化エチレン)は、洗浄剤メーカーがAE(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)などの非イオン(ノニオン)界面活性剤をつくる際の原料となるものです。
その製造拠点が、広大な鹿島臨海工業地帯の石油化学コンビナート内にあります。当社のEO事業の一番の特色は、周辺に洗浄剤メーカーなどの界面活性剤製造プラントを誘致し、当社のプラントとパイプで直結して、製造したEOを供給していることでしょう。今はコンビナート内で連携し、全体の競争力を維持していこうとの考え方が潮流といえます。当社が、原料面から洗浄剤メーカーをサポートしていくため、国内で最も早くパイプ供給の仕組みづくりに着手したのも、そのためでした。2011年には現状の体制を整え、本格稼動させています。
EOの製造は、まずナフサを熱分解してエチレンを生産することからはじまります。ナフサとは、灯油などと同じく原油を精製することで得られる成分で、粗製ガソリンとも呼ばれ、さまざまな石油化学製品の出発原料になっています。そのナフサを国内外の石油精製会社などから調達し、当社のナフサ分解装置、すなわちエチレンプラントで約840℃の熱を加えて熱分解させます。熱分解物は、炭素数2個のエチレン、3個のプロピレン…というふうに、個々に精製されて各基礎製品になるのです。そうして得られた純度の高いエチレンを酸化させたものが酸化エチレン、すなわちEOです。ナフサを熱分解すれば、その約30%はエチレンとして取り出すことができますが、ほかの基礎製品も一定の割合で産出されますから、ロスを出さないようすべてを活用し全体でバランスをとらなければなりません。加えて、主製品のエチレンはここ5年ほどの間に、中東の原油随伴ガスなどコストの安い天然ガスから生産されるものが増え、結果的に国内では減産傾向にありますし、2017年頃には北米でシェールガス由来のエチレンも本格生産され始めます。需給バランスが大きく変わるなかで、エチレンプラントの最適化や石油精製との連携に努めるなどして事業基盤を安定させています。

またコンビナートでは、基礎製品から中間品、関連産業への広がりも非常に重要です。当社では、EOだけでなく、そこからEG(エチレングリコール)をつくりポリエステルの原料にしたり、リチウムイオン電池の電解液の原料となるEC(エチレンカーボネート)を生産したりと、多様な製品に展開することで、個々の原料としての価値も高めることができているのです。
暮らしに役立てられている石油化学製品は多数あり、その出発点にコンビナートがあります。当社のエチレンプラントは、基礎的な製品の供給を担うだけに位置づけも大きく、より安定的に稼動させて、その強みをコンビナート全体の競争力向上につなげていくことが使命と考えています。
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