人と技術の両輪で分析
株式会社環境管理センター
(本社、技術センター:東京都八王子市)
お話をうかがった方々(写真左から):齋藤 徹さん(株式会社環境管理センター 執行役員 営業本部長)、椎木 久美子さん(同社 営業本部 営業企画室 企画グループリーダー)、横田 海さん(同社 営業本部 営業1部 営業グリープリーダー)、小林 一さん(同社 営業本部 営業1部 副部長)
公害防止や環境保全などの目的で環境庁が発足した1971年7月、まだ企業が自ら工場排水などを分析することが多かった時代に、私たちは第三者機関として水・空・土の分析をやろうと会社を立ち上げました。中立的な立場から分析を行ない、公害を改善して良い環境へと変えていきたい、という初心は今も変わりません。
かつてはダイオキシン、近年はPM2.5など、さまざまな物質の分析依頼を企業や自治体などから受けてきました。昨年からは、東京都の豊洲市場の地下水と空気の再調査も担当しています。近年は、濃度測定の単位がppm(100万分の1)からppb( 10億分の1)へと移ってくるなど分析対象の微量化がすすみ、分析精度やデータの信頼性も求められるレベルがあがっています。豊洲市場の環境データは当初ばらつきがあり正確に検証できない状況だったので、そのデータを確認して欲しいとの依頼がきました。当社に白羽の矢が立ったのは、45年以上かけて培ってきた分析技術と現場の対応力を評価していただいたからだと自負しています。
分析というのは「何のために行なうのか」が非常に重要です。目的に応じてサンプルの採取場所や試験内容が決まるため、まず私たちはお客様の話を聞き、現場に足を運び、それから試験や分析について提案する、コーディネーターのような役割をします。分析結果はありのままをお見せするので、お客様はびっくりして、「こんな数値のはずがない」と怒られることもあります。しかし、そこから原因を探り、お客様と一緒に考えていけば、現状をより良い環境に改善していくことができます。そうした意思を持った社員、“人”こそが当社の強みだと思います。
また、分析機器の使い方にはマニュアルがあるけれど、人はマニュアルでは育ちません。分析で思った数字が出なかったとしてもその事実をきちんと報告し、たとえミスをしても正直に言える風土を先輩たちが作ってきてくれたことが誇りです。
人といえば、複合的な臭気判定は、人の嗅覚でしか評価できない部分があります。海外では人の代わりにマシンを使って測定しようという考え方ですが、日本では人の嗅覚を利用した試験方法が国の悪臭防止法に定められた「臭気指数」の判定にも使われています。当社は先駆けて臭気判定士による官能試験に取り組んでいて、臭気分析専門の「におい・かおりLab」も設けています。
今後は、日本の公害対策や環境施策のなかで磨いた技術を海外でも活かしていく方針です。第一歩としてベトナムに子会社を設立しましたが、これから本格的にアジア地域全体の環境向上に貢献していきたいですね。
株式会社環境管理センターは、当工業会の環境・安全専門委員会による環境モニタリング活動(河川水中の界面活性剤濃度の定点観測)においても、分析手法の開発や分析に携わっています。
東京都日野市にある「におい・かおりLab」は現在日本に2箇所しかない第一種臭気測定認定事業所の1つ。専属パネラーによる官能試験を行なっています。