パームやココヤシなどの植物油を原料に、自社工場で精製や分別を行ない、さまざまな機能を持つ油脂を開発しています。特にパーム油は世界で最も消費されている油で、国内でも主に食用として消費量が伸びています。当社は、国内最大のパーム油取り扱いメーカーであり、食用油脂とその加工食品を主体に事業を展開しています。
一方、洗剤類の原料など、非食用油脂も1950年の創業時から手掛けてきました。油脂メーカーとしては後発だった当社は、戦後の輸入大豆や菜種の割り当てを受けることができませんでした。そこで、まだ馴染みの薄かった南方系の油に目を向け、国内で唯一ヤシ油を搾油して、石鹸や洗剤の原料として加工をはじめた、という歴史があります。
ヤシ油は、現在は原産地のフィリピンの工場で、ココヤシの実の白い果肉を乾燥させた「コプラ」から搾油しています。パーム油はマレーシアの工場で、果肉からとれるパーム油と、種からとれるパーム核油の2種類を加工しています。パーム油は牛脂と似ていてオレイン酸系、パーム核油はヤシ油と同じラウリン酸系で、それぞれ性質が異なります。そのままでは、不純物やいろいろな融点の成分が混ざっていて原材料としては使えないため、精製や、融点ごとに分別するなど、加工度をあげて安定させます。この加工技術が、当社の最も得意とするところです。
油脂を分別すると、融点の違った油脂に分かれます。融点の高いものはチョコレート用、低いものは揚げ油など、それぞれを食用・非食用のさまざまな用途に利用します。その際、どのような製品の原材料とするかによって、水素添加をして融点を上げたり、酵素エステル交換で特定の脂肪酸の割合を増減させたりと、種々の技術を組み合わせて加工しています。洗浄剤の場合は、洗浄性や起泡性、シャンプーを使った後の髪のキシミにくさといった、各製品設計に応じて、いったん分別した油脂を再び混ぜ合わせ、品質の安定したオリジナルの油脂をつくるのです。
開発過程で細かなやりとりをしながら、精製技術を向上させてきたことが、各社各様のご要望にお応えするうえで活きています。また、ヤシやパームの原産地に自社工場を構え、独自に搾油や加工を行なっていることは当社の大きな基盤となっています。
植物油脂を、高品質な原料として今後も安定的に供給するには、地域社会や環境への影響も認識しながら、持続可能な生産に協力することも重要です。パーム油については、国際的な連携の場であるRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に正会員として加盟し、国内工場でRSPO認証のパーム油を供給する体制も整えています。
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