第一工業製薬株式会社
お話をうかがった方々:写真左から、研究本部 研究カンパニー部 難燃剤・樹脂添加剤グループ長 森下 健さん、広報IR室 広報グループ長 尾村 隆夫さん、生産本部 生産管理部 生産企画グループ 主任スタッフ 新多 一毅さん、生産本部 品質保証部RC推進グループ長 奥村 治男さん
● 『FELIZ 115』でステークホルダーと
幸福を共有する企業に
1909年に創業し、界面活性剤やアメニティ材料をはじめ6つの事業分野で多彩な化学素材を研究開発しています。生産本部によるGX戦略と、環境に貢献するバイオプラ改質剤を紹介します。
Q. 化学素材メーカーとして大切にされてきたことは?
当社の原点は、カイコの繭から絹糸を効率的に取り出す薬剤(界面活性剤)の製造技術です。それが後年に工業用の界面活性剤や、ライフサイエンス事業の「カイコ冬虫夏草」の研究へとつながったように、「時代を生きた技術 次代に活きる技術」が当社の誇りです。人々の期待や課題に応え「産業を通じて、国家・社会に貢献する」社是のもと、化学の力で社員・株主・顧客・社会の“幸福”に貢献することを目指しています①。
Q.2021年から取り組むGX(グリーントランスフォーメーション)とは?
GXは政府の「2050年カーボンニュートラル」などの目標に向けた戦略の一つで、経済・社会・産業構造をクリーンエネルギー中心に移行する取り組みです。その動きに呼応して生産部門にGXチームを発足しました②。
当社の環境施策は、できることから着手して短期的に成果を積み上げていく傾向がありましたが、経営陣からは「将来のあるべき姿を描き、そこからバックキャスティングで戦略を組み立てるように」と指示があり、考え方が大きく変化しました。取り組み初年度はエネルギー使用量の“見える化”③に注力し、エネルギー効率を示すエネルギー原単位を約9%改善できました。
Q.GX戦略の一つ、環境貢献型製品の先行事例を教えてください
次代を担うバイオプラスチックとして世界が注目するポリ乳酸※1を改質する『TRIBIO®』※2を開発しました④。ポリ乳酸は土中で加水分解・生分解され、二酸化炭素と水に戻るのが特色ですが、もろくて熱に弱いため普及が進みませんでした。その弱点を克服する改質剤を当社は10年近く研究していて、ある時から、お客様が求めている透明性・耐熱性・耐衝撃性の3点を向上させる多機能な改質剤をつくろうと考え、配合を色々試す中で『TRIBIO®』が誕生しました。コンビニ弁当やコーヒーチェーンの飲料の容器などにもバイオプラが採用されるように、当社の技術で後押ししたいと思っています。
Q.新しい挑戦にはご苦労も伴うと思いますが、モチベーションは?
新しいことへのチャレンジは、世界を広げることができ、レベルアップにもつながります。成果が出るとやってよかったなと思えます。今後はGXのデジタル化をさらに進めていきたいです。