ミヨシ油脂株式会社
お話をうかがった方々: 上席執行役員 管理本部長 経営企画CC室長 小田島 淳悦さん(中央)、購買部 購買課 (兼)経営企画CC室サステナビリティ推進課 課長 島津 啓輔さん(左)、油化本部 企画部 部長 柄目 正喜さん(右)
●おいしい・やさしい油脂製品で、社会全体の“well-being(ウェルビーイング)”に貢献を
大正10年の創業で今年100周年を迎えるミヨシ油脂。食品部門では製菓・製パン事業のほか調理用油脂などを、油化部門では医薬・環境・工業用の高級脂肪酸や、界面活性剤などを製造しています。独自の技術が生かされた、環境関連素材を紹介します。

100周年のスローガンとシンボルマーク:ミヨシ油脂は、原材料をつくり、お届けしているメーカーです。私たちが開発した「製品=種」が、世のさまざまな場所で芽を吹き、すくすくと育ち、“ワクワクの花”が咲いてゆくイメージを込めました。
Q. SDGs(持続可能な開発目標)をどのように捉えていますか?
SDGsという共通の評価尺度により、化学工業メーカーが各自で行なってきた環境対応がわかりやすくなりました。世界の企業と話せる共通の言語ができたとも捉えています。
一方、当社としてのゴールはSDGsへの取り組み①の先にあり、「おいしさ」と「やさしさ」にこだわった油脂製品で、社会全体の“well-being”に貢献することです。
Q.油化技術を用いた環境関連の開発について教えてください
当社では長年、エネルギーの節約やCO2の削減に知恵を絞ってきました。2020年からは再生エネルギー普及のため、油脂製品の製造過程で発生する排水を微生物で分解し、メタンガスを発生させ、電気を作って売電する事業を始めました②。
製品では、公害問題が残る1984年に発売した、工場廃水から重金属を除去する処理剤③がロングセラーです。高分子の両性界面活性剤を作る際に偶然固まってしまい、「金属イオンと結合させて水から分離すれば処理剤ができる」と気づいて製品化に至りました。従来からの凝集沈澱法に組み合わせることも可能で、効率の良い廃水処理が可能になるとして高評価をいただいております。
また、近年は海洋プラスチックごみなどを背景に生分解性樹脂が注目されていますが、当社は液状タイプを開発しています④。接着剤やコーティング剤として使いやすく、コルクやパルプなどのバイオマス資源と混ぜると、生分解性100%の成型品が生産できます。創業時からの強みである、油を水に乳化・分散させる技術を生かした開発例です。
Q.原材料メーカーとして、今後注力したいことは何ですか?
技術や原材料は、採用されて初めて製品の形になり、使う人に価値を判断してもらうことができます。そのため製品メーカーと、素材の新しい用途開発に力を入れていきたいです。そして当社と社員、お付き合いのある人達、消費者の方々も含めて“well-being”になっていく、というサステナブルな循環の仕組みをつくる一翼を当社が担っていけたらと思います。