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当社は80周年を迎えました。人の一生に近い長い社史を築いてこられたのは、さまざまな人の支えがあったからと感謝しています。創業は終戦まもない東京で、界面化学の研究者、川上八十太が小さな研究所を構えたのが最初です。川上先生は---社内ではそう呼んでいます---
研究が大好きな人で、「0から1を発想する」人でした。
日本ではまだ石けんで髪を洗うのが普通だった頃、
「こんな原料があれば役立つぞ」と開発した増粘剤のアミゾール®は、出回り始めたシャンプーのとろみを使いやすく調整する必需品となりました。現在の自社製品は、界面活性剤などのライフ事業と、触媒などのファイン事業へと広がりましたが、この先も川上先生の意思を引き継ぎ、「技術の川研」であり続けたいと考えています。
私も研究畑の出身です。大学で有機合成化学を専攻したきっかけは、高校の化学の先生でした。ある日「こんな化合物もあるよ」とシクロデキストリン(環状のオリゴ糖)の図を見せられて、構造内部に分子を取り込める “包接”という性質を知りました。「えっ、面白い形!こんなものが合成できるの?」とワクワクさせられました。
化学というのは非常に広い分野です。そのなかで川研ファインケミカルらしさは、大量に作れないちょっと技術のいる製品や、小さくても有用な人の役に立つ製品を考え、お客様に喜んでもらうことにあります。とくに若い研究者たちには、「0から1を発想する」ことを鍛えて、「こんなものがあったらいいなぁ」とワクワクして欲しいですね。……発想を鍛える方法ですか? やはり、生活やお客様との会話のなかに、ポロッポロッと現れる、まだ形になっていない声を、聞くことだと思います。
そうした声を、私は日常においても楽しんでいるのかもしれません。ゴルフをすると、プレーや会話を通して分かってくるそれぞれの考え方が面白いですし、旅に出ると土地柄や地酒との出会いが楽しみです。お酒は、それこそざっくばらんに話ができるから好きですよ。毎月、自社工場を回ったあと、社員との食事会でも飲ませてもらっています。少し家庭的な社内の交流も80年続いてきた川研らしさであり、大切にしていきたいですね。
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