日油は「バイオから宇宙まで」をキャッチフレーズとしている、多彩な顔を持つ化学工業メーカーです。1937年の創立時から続く油脂関連の事業をはじめ、火薬事業から展開した宇宙開発事業や、有機過酸化物や機能性ポリマーを柱とする化成事業など、幅広く手がけています。独自の技術や製品も特徴で、たとえば1955年に国内初の超小型ロケットが発射に成功してから現在まで、国産宇宙ロケットに当社の固体推進薬を提供しています。
私は入社後、有機過酸化物などの製造プラントを設計し、愛知県知多郡の衣浦工場や、インドネシアのブカシ、中国の常熟市にも工場建設に行きました。有機過酸化物は樹脂を硬化あるいは重合させる触媒として使われますが、熱や摩擦に弱く、常温で置くだけで分解し爆発するような品種もあるため取り扱いには特別な注意が必要です。先輩たちからは、危険性のある物を安全に取り扱うのがプロの仕事と教えられてきました。私がプラントを設計し完成させるときは、製造担当の人の話もよく聞いて実際の作業や動線を想像し、これで絶対大丈夫と納得がいくまで慎重に取り組みました。一つのプラント建設には2年ほどかかりますが、いよいよ本運転となり、自分で考えた製造プラントが設計通りに動き、実物の製品が目の前に出てきたときは大変感激しましたね。
工場建設では人にも恵まれました。仲間とのコミュニケーションは安全や品質を確保するうえでも大切です。いつも本音で話し、お互いに理解しあうことが重要だと思っています。
中国に数年駐在した際は、家族も来てくれて、常熟市の隣の蘇州市に住みました。市内には世界遺産に選ばれた庭園が多くあり、治安もよく住みやすいまちでした。また、近くには華東や四川、湖南、広東などの郷土料理店もあり、家族とよく外食を楽しむことができました。
私は出身が愛知県の豊橋市で、自宅は常滑市。どちらも海がすぐそばにあり、私も家族も、都会より穏やかな場所に惹かれるようです。今は東京本社に勤務しているので単身赴任中です。休日はミニベロ(小径自転車)で都内を気ままにポタリングしていますが、たまに地元に帰ると近くの湾岸までの散歩や、気が向いたときは堤防釣りを楽しんでいます。いつか大きなクロダイを釣りたいですね。
|