2017年より日本の事業を統括する資生堂ジャパン(株)の社長に就任し、「本業に集中する」という方針を第一に掲げて化粧品部門に注力してきました。お客さまが手にする「エリクシール」や「マキアージュ」などのブランドは社員にとって表舞台で輝くスターのような存在です。しかしそれを創る活動はとにかくシンプルで、同じことの繰り返しであり、これに送り手側が飽きてしまうことが一番いけないと私は思っています。
特にこの2年間は、これまで本社にあったマーケティング機能と店頭の販売機能をしっかり一体化させて、ブランドの世界観やトーン&マナーを決してぶれさせない、といったことを徹底してやりました。「当たり前のことを当たり前にやり続ける」ことでお客さまに伝わり、結果もついてくるんです。
経歴のなかで最も長いのはマーケティング職です。これが統計学の塊のような仕事なんですが、統計学は学生の頃からずっと苦手でした。仕事で学び直してから、漠然とした現状を数値化することで理解できるようになったり、仮説を立てて検証していくと予測が当たったりするところが面白くて、実は好きだったんだなと気づいたんです。
プライベートでは週に1 度、どんなにいそがしくてもジムでウエイトトレーニングをする生活を10 年続けています。トレーナーさんいわく、トレーニングとは筋肉をつけることではなく、「脳と筋肉の関連性をつくることなんだ」と。アプローチがとても論理的で、統計学に通じるところがあると思いました。論理的なことと、情緒的なことをうまく組み合わせると、あと1kg 重いウエイトが不思議とあがるようになるんです。ゴルフの飛距離を伸ばしたくて始めたウエイトトレーニングでしたがすっかりはまってしまいました。
ゴルフは妻との共通の趣味で、2人共ゴルフウェアにはこだわって一緒に買い物に行ったりします。また、私はジム通い、妻は新幹線での全国周遊と、お互い自分だけの時間を持てていることも、夫婦として、良いバランスなのかなと思っています。この春に長女が結婚して、家族としてはまた一つ新たな局面を迎えた感じがします。父娘の会話は子供の成長とともに減ってくるものですけど、また増えてくるんですね。娘から仕事の話を聞いたり、本音で会話ができるようになったことが嬉しく感じられる今日このごろです
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