P&Gは180年前に米国で創業したグローバルな企業です。日本では消臭効果や、香りを楽しむ柔軟剤「レノア」、「アリエール」「ボールド」のジェルボール型洗濯用洗剤など独自の製品も投入し、新しい価値を提案してきました。
私はP&Gジャパンの営業職になって28年ですが、仕事仲間とは国籍も言語も役職も関係なく、相手を“個人”として尊重し、一緒に仕事をしたいなと考えています。誰のどんな意見も絶対に否定しないで、一回受け止めてから「こう考えてみたらどう?」とアドバイスを出し合うことが大事。これはP&Gの社風とも言えますが、営業先のニーズを知りたいときなども同じです。相手と目線を合わせて話すと、さまざまな発見があります。
キャリアの中盤では、シンシナティの本社で1年間世界的な営業施策の立案に携わりましたが、自分のやり方が通用しないと感じたこともありました。当時、イチローのいるマリナーズと松井のいるヤンキースの試合を見たくて、家族で車を9時間ほど走らせて NYのヤンキースタジアムに行ったときのことです。イチローの打席で、娘が「これほどがんばっている日本人がなぜバカにされるの?」とポロポロ泣き出しました。それほどスタンドの野次がひどかったんですね。そうした厳しい環境で彼らは努力して成長したんだな…と。私も雑草魂でいこうと、強く心に感じるものがありました。
米国の暮らしでは、クリスマスの飾り付けのような家族の共同作業がとても多かったです。親が米国P&Gに勤務する場合、子供は現地校に通う決まりでしたから、宿題も手伝いました。子どもからみれば、日本ではあまり家にいなかった父親が、急に役に立つ人になったな…という感じだったでしょうね(笑)。あの時間があったから、親子もより対等な関係になれたのかもしれません。
今は、日本の得意先様のアジア地域での事業展開のサポートなども担当し、いそがしい日々です。以前は夫婦で映画に行くことがよくあったので、時間ができたら娯楽ものの日本映画でも見に出かけたいですね。家族と笑ってリラックスした時間を過ごしたり、いつも笑顔でいることで英気を養っているんです。
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