当社は、洗剤などの一般消費者向け製品は扱っていませんが、自社開発品は家具や家電などの、身近な製品の素材に使われるものばかりです。主力の可塑剤は、樹脂製の壁紙などに柔軟性を与えるもので、かつては天然油脂(今は石化原料)を分解して得たアルコールをもとに生産していました。また、油脂の用途は実に幅広く、当社の加工技術を応用した新製品もあります。最近ではパソコンの新型ハードディスクに採用され、回転摩擦を軽減する役目をしている“流体軸受けオイル”などもそうです。
大阪本社に就職した後、若い頃は東京の営業部にいたので、近所だった工業会にもよく出入りしました。当時、業界の統計データは通産省の公表まで2ヶ月待たねばならず、自分たちで集計して会員社に速報するという今のスタイルを皆で作った思い出があります。20年東京で過ごし、新設するプラント用に提案した企画が採用されたきっかけで大阪本社に戻りましたが、“大阪に帰る”という感覚はなかったですね。生まれも育ちも山口ですが、実は長州もんというお国意識というのもないんですよ。
私は考え過ぎないタイプですね(笑)。まじめな技術者が中心の会社だと、こういう人間も必要かと…。開発プランの段階ではともすると、みんな慎重になり過ぎる。「本気ならやりたいと言え! 命まで取られるわけじゃなし成し遂げてみろ」と言うんです。やることを決めて、それから設備や素材をどうしようと必死に考えるから生まれるものもある。当社が100 年近く続いてきたのも、そうした先輩諸氏の積み重ねがあったからだと思います。
週末は、月に一度くらいは若狭湾へ釣りに行きます。いつも熱心な若い船頭さんの船に乗りますが、朝から晩まで10時間くらい船の上なので体力勝負ですよ。つい先日、釣ったサバを捌いてシメて冷凍しておいて、家に来た友人にふるまったら、自分でもびっくりするくらいうまく出来ていました。料理も趣味のようなものかな。学生のときはバスケをやったり、40代からスキーを始めたりとずっと体育会系でしたが、今は楽しむより健康のために歩いたり泳いだりします。関東に比べて高低差がある関西のゴルフコースも、ぜんぶ歩いてラウンドしていますよ。
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