工業会には、これまでも技術委員の活動などを通じて度々かかわってきました。この5月から、新たに会長として参加する機会をいただいて、うれしく思っています。
私は、研究開発部門の出身で、実験室でつくったものを、工場の生産装置でいかに製造するかというプロセス開発を長年担当しました。白衣ではなく、安全靴にヘルメット、試験管よりドラム缶という世界です。オイルショックを契機に、植物油脂の研究に力を入れていましたので、次の時代に向かい、環境に適合した新しい洗剤を一から生み出そうと、皆が創造的な研究に取り組んでいました。その頃の想いも受け継ぎ、現在はエコ・ファースト企業としてのトータルな環境配慮活動を行っています。
研究屋としては大変面白い時代を過ごしましたが、一方で、研究所を代表して工場に出向き、生産に取りかかってみると、最初からうまくはいかないものです。いつも現場の人達と協力して、試行錯誤のすえ成功させることができました。工場での情景は、今もよく思い出されます。生産がうまくいって、夜勤明けに工場で入るお風呂は、最高でしたね。
何かをつくる過程で、仲間と真剣にぶつかりあい、最後は感動を分かち合う、そういう経験は学生時代から大切にしています。中学生の頃、エレキギターが流行りましたが、私はクラシックギターに入れ込みまして、大学ではギターアンサンブルのコンサートマスターを務め、仲間とともに公演で各地をまわったりしました。楽器はオーダーメードで、材料や形、指を置くフレットの作りからニスの塗りかたまで全部指定して…そんな話は何十年ぶりにしますけれども。その青春の証といいますか、右手の爪は短く切ることができずにいます。クラシックギターは自分の爪で弾きますから、いずれ時間ができたら再開しようと、用意はしているというわけです。
昨年社長に就任してからは、身体の健康を考えて、社長室のあるフロアまで階段で登っています。心の健康のためには、好きなジャズやクラシックを聴いたり、映画を観たり…でもリラックスするぞと思うとかえってダメですね。今は、社内外の各方面、いろいろな方々とお話ができる貴重な体験も含めて、24時間、社長業を楽しもうと思っています。
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