今から116年前、津村順天堂時代の「浴剤中将湯」から始まった入浴剤事業は、バスクリンを筆頭に、社を牽引しつづけてきた存在でした。1972年には日本初の浴槽洗浄剤バスピカも発売し、現在の工業会とのおつきあいがあるわけです。これらトイレタリー部門は7年前にツムラから分社し、その後独立して、2010年に社名を新しくしました。分社時から社長として理事会に参加してきましたが、皆さん実に真摯で、工業会の社会的使命にのっとった議論が丁寧にされているなと感じています。
子供のころ、TVCMでもバスクリンをよく見ていましたし、入浴剤を使う暮らしは憧れでした。大学生になり、東京で友人と風呂付きのアパートに住み始めたとき、早速スーパーに買いに行ったことを覚えています。のちに地元の広島支店の営業に採用されることまでは想像しませんでしたが…。結婚して父親になると、今度は入浴剤と子供をお風呂にいれて、湯船でゆっくり会話をしました。家族の幸せな入浴風景は津村順天堂創業者の願いですが、僕の原点でもあります。社長になって、やはりそこへ立ち返りました。
分社にあたっては研究所、工場、営業と、すべて揃っていましたし、「ものづくり」にあたっても、日本の名湯シリーズでは、ゆかりの温泉地の方々に太鼓判を押してもらえるくらい、中身にはこだわりを持ってつくってきました。分社時は改めて、なんのためにつくり、お客さんにとっての価値はどこにあるのか、社員全員で考え抜くことができたのです。社員や僕が、温泉入浴指導員の資格をとったのも、とことんお風呂に詳しくなりたいとの一心からでした。
入浴も健康づくりに役立ちますが、休日は朝からウォーキング、そして1日2000m泳いでいます。これはなかなかの距離でしょう? あと趣味といえそうなものは、お酒と、読書です。数年前に読破した歴史小説「ローマ人の物語」はよかったですね。普段はもっぱら各国の通史を読むようにしておいて、あとで時代の横軸でつきあわせて考えると非常に面白いです。歴史にはそうとう詳しいし、お城なども好きですよ。出張先にあったら必ず周辺を散歩しています。外堀から水辺や緑も楽しみながら、昔の人のように時間をかけて歩いてみる、僕なりの鑑賞法ですね。 |