大学では化学専攻でしたから、入社後は研究所と工場が主な仕事場でした。昭和41 年当時は現在本社を置く荒川区に4つ工場があり、粉末のカネヨクレンザーとソフトクレンザーを月に200万個も製造していました。でも、機械らしい機械はミキサーくらいしかなくて…ラベルも手貼り。液体クレンザー・カネヨンの開発がはじまるころには必要に迫られ、試行錯誤で自作しながら機械化を進めたものです。昭和46年に液体クレンザーが無事発売され「カネヨンでっせ」という笠置シヅ子さんのTVCMも放映しました。当時、笠置さんはCMにあまり出られない方でしたが、「私もクレンザー使うてるから」と引き受けてくれたみたいです。
山形工場ができて、車でよく通いましたが、はじめ東北自動車道がまだ開通していない時代でしたから、東京の仕事を終えてから夜に出発し、奥州街道を8 時間かけて朝に山形工場に着く。それが苦にならないのだから運転が好きなんですね。それと言うのも、若いころ趣味で、日本アルプスを車で走るラリーにも参加したりして、未舗装の林道や山道を長時間走るのも得意だったんですよ。今はさすがに、舗装道路のほうが楽ですけどね。山形工場の裏には、サクランボや桃の農園があって…。着いた早々、朝露でほどよく冷えた桃を食べるのが楽しみだった…。
最近の趣味は「３つの“こ”」で、もっとも穏やかです。「碁」「ゴルフ」そして「小鳥」。碁をうつ相手は友人や会社のOBです。よく「おまえのは自己流でダメだ」なんて言われてケンカ碁になってしまうのですが、碁をやりだすと時間のたつのを忘れます。ゴルフは30代で一度ぎっくり腰になってしまって…。50歳から再開したので、ほどほどに楽しんでいます。小鳥の話は、子供時代に伝書鳩レースに熱中していたことからはじまります。自宅上空の旋回から訓練するのですが、300キロレースでは、今、東日本大震災で大変な被害を受けられた宮城の松島から放して、タイムを競いあったこともありました。自分の鳩が帰ってくるのを、空を見上げながら待っていたものです。野鳥はいいですね。今は家が上野動物園の近くなので、小さな庭ですが餌箱を置いて、休みの日になると、季節ごと飛来するいろいろな小鳥たちを見て楽しんでいます。
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CLEAN AGE 227号
理事 （平成2年就任）
