プラスチックの原料循環と原料転換
*2024年11月の容器・廃棄物専門委員会主催の講演『プラスチックの原料循環/転換の最新動向』から抜粋し、編集しています
多くの国がサーキュラーエコノミー(循環経済)実現のために、2050年のカーボンニュートラル達成(CO2排出量実質ゼロ)を目指しています。国内企業も脱炭素経営にシフトしつつあり、豊田通商(株)はその動きに先駆けて、多様な事業を進めてきました。顧客企業や社会全体のカーボンニュートラルに貢献する取り組みから、石油化学産業・化学品領域の例を紹介します。
横井 一輝さん
豊田通商株式会社
サーキュラーエコノミー本部
エッセンシャルケミカルズ部
CN推進グループ グループリーダー
■カーボンニュートラル宣言後、規制導入が進んでいる
カーボンニュートラルを宣言した各国では、さまざまな規制導入が拡大しています。日本は現在、いわゆる「プラ新法」のもとで、プラスチック使用製品の全ライフサイクルにおいて資源循環の取り組みを促進していますが、まだ努力目標の段階です。
一方、環境先進国の欧州ではより厳しい規制が次々に導入されており、いずれ日本にも波及することが予想されます。カーボンニュートラルの達成には、企業の取り組みがますます重要となり、事業に関わるプラスチック資源循環もその一つと言えるでしょう。
■プラスチックの原料循環と原料転換に注目すべき理由
日本のプラスチック廃棄物の量は年間約800万トンあり、その約6割は焼却され熱回収(サーマルリサイクル)されています。しかし欧州では、熱回収をリサイクルとは認めていません。プラスチック廃棄物を資源として循環させずに焼却することは、CO2の排出に直結するからです。
現状を改善するには、焼却や熱回収されているプラスチック廃棄物を、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルに変えていくことが重要です。そこで注目しているのが、プラスチックをリサイクルして川下へと戻す【原料循環】と、川上の石油由来原料をバイオマスに置き換える【原料転換】です。以下のように方法は多数ありますが、課題も多いため、リサイクル技術や経済合理性を高めながら、すべてのアプローチをバランスよく推進することが大切です。
■豊田通商(株)の化学品領域における取り組みの一例
◎バイオエタノールを原料とするエチレン、プロピレン
およびその誘導品の製造を検討
◎2021年、フィンランドNeste社のバイオナフサを日本に初輸入
◎2022年、廃PETボトルを回収し再資源化を行なう
事業会社TRS(豊通ペットリサイクルシステムズ)を稼働
◎2022年、自動車/家電由来のミックスプラスチックを原料
とし、リサイクル原料を製造する事業会社プラニックを稼働
豊田通商(株)はこれからも、カーボンニュートラル事業のリーディングカンパニーとして、志を共にする企業と協業し、循環型社会に貢献していきます。