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2021年6月22日更新
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参照カテゴリ> #02.容器3R

*容器包装リサイクル






プラスチック資源循環の取り組み
〜容器包装へのPCR材料の採用と課題〜




photo 製品やその容器に用いたプラスチックを資源として回収し、循環利用していく動きが活発になっています。今年3月には『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案 ※1』が閣議決定され、6月に国会で成立しました。  
 そこで、洗剤類の容器包装では、どのような取り組み方や課題があるのか考えます。今回は、再生材料の採用と課題について、花王(株)の包装技術研究所で100%リサイクル可能な容器の開発などに携わる、稲葉 真一さんにうかがいました。


『プラスチックのライフサイクル全般での”3R+Renewable※2”』のイメージ

◆PEやPPの再生プラスチック材料は不足している

 洗剤類の容器には主に石油由来のPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)が使われてきました。最近は透明な再生PET(ポリエチレンテレフタレート)を用いた容器も登場していますが、PET以外のPEやPPの再生材料は圧倒的に不足しており、採用がすすんでいないのが現状です。  
 洗剤類の容器に適したPEやPPの再生材料が確保できれば、容器への採用もしやすくなります。そのため今の重要なテーマは、製品や容器に用いたプラスチックの循環利用、いわゆる“ポストコンシューマ材料(以下PCR材料と略記)”を回収し再生材料として活用していくことです。

洗剤類の容器に適したPEやPPの特性(PETとの比較)

 環境対応でリードする欧州ではPCR材料の活用がかなりすすんでいて、その使用量が少ないプラスチック容器に課税する国も出てきました。一方、日本では、PCR材料の収集方法として、既存の容器包装リサイクル法の分別収集の仕組みを利用することや、事業者などが独自に収集する新たな仕組みをつくることが検討されています。  


プラ再生材料として注目されるポストコンシューマ材料(PCR材料)

◆現状の再生材料を容器に採用するうえでの課題

 現行の容器包装リサイクル法に基づく分別収集では、PETボトル以外の『プラスチック製容器包装』はほぼ一緒に収集されています。リサイクルする前に材質ごとに分別しているのですが、できあがった再生材料の色や純度にばらつきがあり、重要な衛生性の確保も難しいなどの課題があります。

容器包装リサイクル法の材料リサイクルで得られる再生材料

◆多面的な取り組みで容器のリサイクル向上を目指す

 洗剤類の容器には、品質を維持するために複数のプラスチック素材を積層したり、ポンプとボトルなどの異なるパーツを組み合わせて安全性や使いやすさを向上させたものが少なくありません。PETボトルのように単独リサイクルできる容器は限られているため、洗剤類や容器のメーカーは、現状の再生材料を有効利用していく方法を検討すると同時に、新たな仕組みや技術開発によって、あらゆるタイプの容器をリサイクル可能にしていく試みを始めています。
 また将来的に、容器から容器へ100%リサイクルする仕組みを確立できれば、ごみの発生量をゼロに近づけることができます。そうした一例として、花王(株)とライオン(株)は複合素材のパウチ容器を新しいパウチ容器にリサイクルする技術課題を共有し、共同でパウチ容器リサイクルの社会実装に取り組んでいます。

◆プラスチックの資源循環の促進に大切なこと

 洗以上のような施策によって、メーカー側が使い捨てプラスチック容器を削減したうえで、消費者のみなさまに使用済みの容器包装もPCR材料の一つであることを意識していただき、ルールにそって排出していただくことが大切だと思います。実際に、再生材料を使った容器包装が増えてくると、外観や色の不均一さをどこまで許容できるのかなど、新たな議論も出てくるでしょう。メーカー、業界、自治体、ユーザーが協力して課題を乗り越え、容器包装プラスチックの資源循環を推進していければと期待しています。


●日本の廃プラスチックに関するミニ知識

2019年の廃プラスチック総排出量は850万トンでした。産業系廃棄物と家庭などからの一般系廃棄物の内訳は【図A】、処理処分方法の内訳は【図B】の通りです ※3

日本の廃プラスチックに関するミニ知識

※3(一社)プラスチック循環利用協会発行「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」2019年より ※4 環境省発表の令和元年度のデータより ※5 欧米ではサーマルリカバリーと呼ばれる。日本の容器包装リサイクル法の再商品化手法には含まれない。

 



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