日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
home JSDA概要 沿革 組織・会員 統計 資料・刊行物 リンク 総目次 English
JSDAの活動 安全と環境 石けん洗剤知識 役立つ情報 クリーンキャンペーン CLEAN AGE
2019年9月17日更新
01.*CLEAN AGE 259号 *目次へ 

ボーケン品質評価機構





機能性素材の衣料品が増えてきた背景

〜繊維製品などの評価を行なうボーケン品質評価機構〜


 ボーケン(旧 財団法人日本紡績検査協会)は1948年に繊維製品を輸出する際の検査機関として設立されました。現在は商社やメーカーから依頼された繊維や生地、衣料品を中心に品質評価や安全性評価を行なっています。
 同機関で新しい機能性素材の事業に携わる坂井さんに、お話をうかがいました。

photo

一般財団法人ボーケン品質評価機構(通称ボーケン)
未来研究所 副所長 東京機能性試験センター 所長
坂井 史治 さん

写真で手にしているのは同機構がJIS規格化に関わった「形態安定加工ワイシャツ」のシワや凹凸を評価する立体レプリカ。


◆新しい機能性素材の評価方法を一から開発

 世界的にみると繊維は成長産業の一つです。とくに合成繊維の需要は世界人口の増加も手伝って10年前の約2倍に伸びています(グラフ参照)。この間に、従来にない機能性を持ついわゆる新合繊も多数開発されました。

グラフ 世界の主要繊維需要量

 ボーケンの機能性試験センターでは、そうした新しい素材の評価試験を行なっています。商社や衣料品メーカーからの依頼で、製品に機能性表示やメリット表示をつける際の根拠となる試験をして、客観的なデータを取るのです。日本のメーカーは企画力も生地を作る技術力も高いので、その試作段階からボーケンも協力して、素材開発や品質管理をサポートし、新素材の評価方法を一から開発しています。

◆機能性やメリット表示をするための試験が増加

表 衣料品の機能性を評価する試験項目 試験内容の傾向として、昔は取り扱い時の注意点を伝えるデメリット表示のための依頼が多かったのですが、近年はメリット表示を目的とした試験依頼(表1参照)が増えました。その背景にはユーザーの「家事負担の軽減」や「より清潔に」というニーズがあります。防シワ性に優れた『形態安定加工ワイシャツ』もその一つで、洗って乾かすだけでアイロンがけの手間を減らせます。『抗菌防臭』や『防汚』の需要も高く、これは依頼者によって防ぎたいニオイや汚れの種類が違うので、それぞれ適切に評価できる試験方法を開発しています。


◆開発した試験方法がJISなどの標準規格に

 『形態安定加工ワイシャツ』の試験方法や立体レプリカの活用など、ボーケンが開発した手法がJIS(日本産業規格※)に採用された実績もあります。JIS化の際は、消費者団体や生産者団体などと一緒に協議して評価基準を決定します。『形態安定加工ワイシャツ』のJIS化では、消費者はシワがないほうがうれしいけれど、生産者からみると生地をパリパリに加工しすぎると着心地が悪くなるし縫製も難しい、といった視点の違いがあり、ちょうどよい基準を決めるのに苦労しました。
 新しい機能性についてはまだJIS規格がないものもあり、各社バラバラの基準で表示をしている場合があります。やはり統一基準があったほうが購入時の比較検討などが容易ですので、できるだけ協力して実現していきたいです。

※2019年7月、「日本工業規格(JIS)」は
「日本産業規格(JIS)」に変わりました。


◆品質管理における日本の高い技術を継承するために

 日本では人手不足が深刻化し、繊維製品の生産地は今後も海外が中心となります。課題は従来の試験方法を効率化しつつ精度を維持していくことですね。未来研究所では人工知能(AI)を取り入れる検討もしています。日本の品質管理における高い技術を、次の世代へ継承していくことが大切だと考えています。


ニオイなどの原因菌を検査する部屋

ニオイなどの原因菌を検査する部屋


生地の速乾性試験で拡散残留水分率を調べる機械

生地の速乾性試験で拡散残留水分率を調べる機械


獣毛繊維などの混用率を調べる試験。これを自動化する科学的な試験方法も新たに開発して実施している。

獣毛繊維などの混用率を調べる試験。これを自動化する科学的な試験方法も新たに開発して実施している。



▲上へ

HOMEJSDAの活動安全と環境誤飲誤用石けん洗剤知識役立つ情報クリーンキャンペーンCLEAN AGEこどものページJSDA概要沿革組織 会員統計資料 刊行物リンク総目次English

日本石鹸洗剤工業会 (JSDA)

© Japan Soap and Detergent Association 2000