米国における油脂産業の動向調査
〜油脂製品部会・第10回 海外調査団の報告〜
日本石鹸洗剤工業会の油脂製品部会では、オレオケミカル産業の動向調査とメンバーの交流を目的に、2年ごとに海外調査団を結成しています。第10回は角藤 淳リーダー(ミヨシ油脂株式会社)をはじめ8人を2016年9月13〜19日の日程で米国へ派遣しました。
米国には2005年に第4回調査団も訪問しており、当時問題となっていたBSE問題、その後急増したバイオディーゼル燃料(BDF)を中心に調査・報告がされています。11年が経過した今回は、「油脂原料、脂肪酸、グリセリンの状況」および「油脂原料由来製品の動向」、「藻類由来油脂の最新動向」の3点に関する調査を行ないました。
調査を通じて、酪農がさかんで牛脂大国ともいえる米国では、FDA(食品医薬品局)が管理する規格を満たしていれば、牛脂由来の原料でも抵抗なく多くの洗剤やトイレタリー製品に使用されている状況を改めて確認しました。一方、食品用途ではほぼ植物由来の原料が使用されており、一部香粧品についてはコーシャ、ハラル等の宗教上の慣習に対応できる植物由来原料100%の製品を提供する企業もあるようです。
また、次世代バイオマス資源の一つ、微細藻類由来油脂に関しては、当初、燃料分野への開発が主目的でしたが、シェール台頭による原油価格下落などの環境変化が起きました。そのため、付加価値の高い食品・パーソナルケア分野を主軸とした用途開発へ方針転換されていました。今後も、動向に注目してまいります。
↑American Cleaning Institute(ACI)を訪れた調査団のメンバー
<訪問先>米国:MITSUI & CO.(USA),INC.、American Cleaning Institute、Kao USA、Emery Oleochemicals、Terra Via、市場(スーパーなど)
※詳しい報告をこちらのページに掲載しています