柔軟成分入りの粉末洗剤やおしゃれ着用洗剤は、1970年代半ばまでには登場しました。元来、洗濯時には衣類同士の摩擦が起きやすく、その繰り返しによって繊維が毛羽立ったり、ゴワついたりして、肌触りが悪く感じられることがあります。これを抑制するために柔軟剤が開発されました。
しかし、二槽式洗濯機が多かった時代は、すすぎの最後にいったん止めて柔軟剤を投入し、また数分間まわす、という手間がかかっていました。その手間を省こうとの配慮からつくられたのが、柔軟成分入り洗剤です。
洗剤は、水に溶かすとマイナスの電荷を持つ陰イオンが働いて汚れを落とすのに対し、柔軟剤は、プラスの電荷を持つ陽イオンが繊維に吸着してすべりをよくします。洗剤と柔軟剤が混じると、結合して双方の働きが低下するため、柔軟剤はすすぎの水がきれいになってから入れるのが普通です。
そこで柔軟成分入り洗剤では、結合を防ぐためにプラスの電荷を帯びない柔軟成分を使用し、洗浄効果と柔軟効果が同時に得られるようにしました。たとえば粉末洗剤では、繊維のすべりをよくする鉱物を加えて、柔軟効果を付与する方法が採用されています。
その後、全自動洗濯機が普及すると、柔軟剤を加える手間は少なくなりましたが、なお手軽さを求める消費者のニーズは続いています。
液体洗剤向けの柔軟成分や配合技術の開発、柔軟効果をより高めるための研究はたゆむことなく行なわれています。液体洗剤が主流になった現在、柔軟成分入りの液体洗剤も数多く発売され、柔軟効果に加えて、香りのよさや持続性をうたった製品が近年のトレンドになっています。
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