日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2012年9月15日更新
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*JSDA“功労賞”

2000年以降の工業会活動
こんな出来事がありました…

功労賞受賞者が振り返る、21世紀の活動トピックス


 日本石鹸洗剤工業会はこのたび、工業会活動に長年従事し貢献された個人に“功労賞”をおくりました(ページ下方に氏名を掲載)。この機会に、受賞者を代表して3人の方々にお集まりいただき、各々のご経験から特に印象深い出来事と、当時の取り組みや所感などをうかがいました。

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写真左から、熊谷 善敏さん(P&Gジャパン株式会社)、所属:洗浄剤部会、国際委員会/ 鈴木 哲さん(花王株式会社)、所属: 広報委員会/ 坪内 徹さん(ユニリーバ・ジャパンHD株式会社)、所属:広報委員会、編集専門委員会)

◎21世紀に工業会活動は大きく変わっていった

 工業会活動は、21世紀に本格的な国際化時代を迎えました。洗剤原料の安全性評価をはじめとする各種の議題が、より大きな枠組みのなかで協議されるようになり、実質的活動も大幅に拡大しました。これに伴い、環境・安全専門委員会とコミュニケーション推進専門委員会も正式に発足しました。

◎「洗剤ゼロコース付き洗濯機」の衝撃

 広報活動の視点からいうと、まず2001年の洗剤ゼロコース付き洗濯機の登場は衝撃的でした。1970年代までさかのぼってみれば、琵琶湖の富栄養化問題を背景にした合成洗剤反対運動に象徴されるように、かつては洗剤の有用性に懐疑的な意見もありました。業界は、前向きに技術的対応をして、リスクコミュニケーションにも取り組んだので、世間の理解も徐々に得られました。2000年には琵琶湖会議が「石鹸も洗剤も適正に使用する」と方針転換するまでになっていたのです。洗剤ゼロコース付き洗濯機が発売されたのはその翌年でした。広報活動の充実を図るため、公式ホームページも開設したばかりでしたが、改めて情報発信のあり方を問われた気がしました。

◎洗たく科学専門委員会で研究データを蓄積

 洗剤ゼロコース付き洗濯機は、メーカーが訴求した「超音波と電解水で洗う」との洗浄メカニズムに矛盾がありました。洗たく科学専門委員会で、発売後すぐに洗濯機を購入して実験と評価にとりかかり、3か月後には、記者会見を開き問題提起を行ないました。“洗剤不要”の根拠は、汚れをオゾン(酸化)で分解するとのことでしたが、それでは衣類も分解してしまいます。また、超音波など物理的な振動で汚れが落とせても、衣類に再付着すれば黒ずみの原因になります。繊維の特性によっても、たとえばウレタン糸は酸化に弱いため、糸が伸びて切れたりして伸縮性が失われてしまうなど、浅からぬ衣類へのダメージも確認しました。こちらは洗浄の研究を昔からやっているので、問題があることはすぐにわかりました。しかしこれを機に、技術情報の共有や啓発の意義を再認識して、委員会の活動目標もより明確になっていったと思います。
 委員会では、洗濯の原理原則をいろいろな角度から研究したデータを集めて2004年に「洗濯の科学」として発行し、その後もトレンドに即したテーマで技術資料をまとめています。また、一般家庭での洗濯行動を約5年おきに調査し、かなり手間をかけて情報の蓄積を行なうこともしています。これらの科学的なデータは、日本電機工業会や消費者の方など外部との話し合いにも有用な役割を果たしています。

◎国際化と化学物質規制の流れ

 2000年以降、国際交流活動を担う国際委員会では、アジアの同業団体の集まりであるAOSDACを定期開催して交流を深め、欧米との協力体制を築くことにも力をいれてきました。
 特に化学物質管理に関する課題は、1992年リオでの国連環境開発会議を境に世界的な協議が活発になってきています。当工業会も、HPV(OECDによる高生産量化学物質点検プログラム)への参加や、GHS(化学品の分類と表示に関する世界調和システム)の国内実施に向けた活動などを積極的に展開しました。

◎1998年から工業会独自に環境モニタリングを実施

 化学物質に対しては、有害な面と有用性の両方で評価しながら、適切な管理と利用を推進するというのが基本です。ハザード(有害性)ばかりがいわれがちですが、たとえ砂糖でも大量に摂れば有害なように、暴露量(さらされる量)が重要です。このことから、環境・安全専門委員会を中心に1998年から河川のモニタリングを実施し、環境中の界面活性剤濃度を調査してきました。専門委員会の前身であるワーキンググループ時代には、調査の前例がなかったために、全くゼロのところから手法を開発していった記憶があります。
 これまでに、主要な界面活性剤5種と蛍光増白剤について、工業会独自にリスク評価を行ない、結果を公表してきました。そのうちLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)を例にとると、OECDが2003年にヒト健康への影響について、また2005年には環境影響について、それぞれ問題がないと発表していて、国際的な安全性の裏付けもされています。
 リオの会議から20年が経過して、洗剤等の成分に関する安全性情報は出そろってきているので、そのなかから何をどのように発信するか、工夫しなければとも思います。

◎洗剤の有用性を正しく伝えていくために

 工業会活動全体で、情報発信の重要性が高まり続けていますね。2003年に広報委員会の傘下にコミュニケーション推進専門委員会が発足すると、メディア向けセミナー「もっとよく知って欲しい洗剤」を開催したり、能動的な活動を増やして、洗剤に関する科学的な知識を伝えようとしてきました。
 しかし自治体のなかには、根拠がないままに合成洗剤反対運動支援を続けているところもあります。そこで2005年に47都道府県と769自治体に対して一斉アンケートを実施し、洗剤の安全性や有用性に対する見解を調査しました。得られた回答をみると、とんでもない誤解もありました。ひとつずつ、具体的な情報提供や説明を行ないました。その成果は大きかったと思います。ただ、時間が経つと同じ問題もぶり返したりするものなので、対話の継続性がなにより大切です。

◎各委員会の専門性を発揮しながら連携の強化を

 環境配慮型製品の競争もますます加熱するなか、マーケティング発想が先行すれば、洗剤ゼロコース付き洗濯機のような極端な例がまた出てくるでしょう。そんな、結果的に消費者の不利益になる事態や、洗剤への誤解を抑制する意味でも、当工業会で科学的な裏付けを持つことが重要です。
 また、どんな情報も発信しなければ、受け手にとり存在しないも同然です。すべてを理解してもらえなくても、難しい情報をわかりやすく伝える努力を続けるべきです。各委員会の専門性も高まっていますから、内部の情報共有についても、改めて連携を意識しつつ取り組んでいかねばなりませんね。


◆功労賞を受賞した皆さん

○花王株式会社 鈴木 哲 氏 
○花王株式会社 妻鳥 正樹 氏 
○花王株式会社 登坂 正樹 氏 
○阪本薬品工業株式会社 阪本 庄造 氏 
○ジョンソン株式会社 古川 静雄 氏 
○P&Gジャパン株式会社 太田 めぐみ 氏
○P&Gジャパン株式会社 熊谷 善敏 氏
○株式会社ペリカン石鹸 高柳 勇生 氏* 
○ミヨシ油脂株式会社 雫石 秀明 氏 
○ユニリーバ・ジャパンHD 株式会社 坪内 徹 氏

*正しい漢字はたかやなぎ-正しい漢字

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平成24年度総会において、表彰式が行なわれました。


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