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2006年6月15日更新
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参照カテゴリ> #03.基礎,洗濯 #03.CLEAN AGE 206号 

*お茶の間の目線から「お洗濯」を科学してみよう

< 第5回 >

お洗濯を考える
伯母* 伯母さんと
姪* 姪の会話


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洗剤には主成分のほかに酵素や増白剤・漂白剤など、添加されているものがある

*今回は増白剤と漂白剤と酵素の話

姪* おばさん、こんにちは。ケーキ買ってきたからお茶にしましょうよ。
伯母* あら、いらっしゃい。気が利くわね。雨でも降らなきゃいいけどね。もっとも、梅雨だからしかたないけど…。
姪* 今日はコーヒーでも入れましょうね。それなんだけど、どうしても雨の季節は部屋干し陰干しが多くなるでしょ。
伯母* まあねぇ、乾燥機もあるし洗剤も部屋干し用もあるからね。昔ほどには、お天気を気にしながら洗濯するということは、少ないのかもね。
 おや、あなたいいブラウス着てるじゃない。ほら、コーヒーこぼさないように気をつけてね。
姪* ね、いいでしょ。安かったのよ。白いのは清潔な感じがあっていいわ。
 そういえば、お洗濯の仕上がりは、「白さ」が洗剤のCMでも強調されることが多いようだけど、これはどうなんだろ。
伯母* それはね、洗剤には蛍光増白剤というものが配合されていて、衣類の白さを保つように工夫されているからよ。
姪*  「増白」というからには、白物の洗濯物がより白くなるという…。
伯母* それも誤解されやすいところでね、元の衣料が持っていたはずの白さを保つのが目的と効果で、買ったときより白くなるわけじゃないわよ。
姪* まあ、そりゃそうかもね。
伯母* 白物の衣料品の場合には、それが製造された時点で繊維の種類に応じて蛍光増白剤が使用されているのよ。
姪* なるほど。じゃお洗濯するとそれが落ちてしまう…。
伯母* 何度も洗っていれば、だんだん白さも失われてくるし、それはお日さまの光でも劣化してくるから、それを補ってカバーして白さを維持してくれるのが、洗剤の蛍光増白剤なの。
姪* 増白剤といえば、漂白剤というのもありますよね。一字違いだけど…。
伯母* もちろんまったく違う物ね、これは。そもそもお洗濯で汚れを落とすという技術には、汚れを物理化学的に落とすのと、化学的に無色化させるのと、二つの方法があるといえるのよ(図1)。ふつうに汚れを落としたい場合は、洗剤の基本機能である乳化・分散・可溶化がメインだけど、それでは落ちない汚れもある。
図1 洗濯の技術は汚れ落としと漂白
図1 洗濯の技術は汚れ落としと漂白


姪* わかった。この白いブラウスにコーヒーをこぼしたとか、シミのような汚れね。
伯母* そうそう。それとね、ちょっとおさらいになるけれど、天然の…つまり衣類に自然に付いてしまう汚れの中身は、だいたいこんな円グラフ(図2)のようになっているのよ。いちばん多いのが、皮脂由来で、ふつうに着ているだけでも長いこと経つと、衣類に汚れが溜まっていくの。それが、変質してシミになったり黄ばみになったりするのね。
図2 天然の汚れとはこんな汚れ
図2 天然の汚れとはこんな汚れ


姪* そうか、それもふつうに洗っただけでは落ちないのね。
伯母* だから、そういう場合は染み付いた色素を、化学反応で分解するの。それが漂白なのよ。
姪* でも、疑問。そんな漂白剤を、最初から洗剤に配合しておくと困ったことにはならないのかしら。
伯母* 確かに漂白剤の種類や衣類との組み合わせによっては、色物の色落ちなんてこともあるけれど、まず衣類の洗濯絵表示で、漂白剤が使用できるかどうか確認する必要があるわね。これは基本ね。
 洗剤に配合されているのは酸素系漂白剤で、そんな事故は起こらないし、逆にふつうの洗濯で皮脂汚れや油汚れを酸化させて、水に溶けやすくしている。そうして汚れ落としも助けているし、除菌効果もあるというわけなの。
姪* そうか。前回の話であった助剤のようなものなのね。
伯母* どこからどこまでが助剤でどこからが助剤でないかは、そんなにはっきりした線引きが定着しているわけじゃないのでね。洗剤に配合されてその機能を高め補完するものという意味とすればかなり広範囲になって、蛍光増白剤も、漂白剤もそうだし、酵素もそうだしね。
姪* 酵素については、この前もちらっと出てきたけど、もう少し詳しく知りたいわ。とくによく聞くものだし。
伯母* 洗剤に使われている酵素は、主にはタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)といわれるものだけど、ほかにも繊維の細かい構造の中の汚れにも働くセルラーゼ、油脂汚れに働くリパーゼ、デンプン汚れに働くアミラーゼなど、いくつか種類があるのよ。
姪* それが洗剤には全部入っているの?
伯母* いやいや、そうじゃなくて、どの酵素をどう配合するかはメーカーにより製品の設計によって、それぞれ違うのよ。
姪* 酵素が汚れを落とすというのは…?
伯母* わかりやすくいうとね。ほら、消化酵素っていうでしょう。食べ物を消化する…。あれと同じ作用で、汚れを分解して落ちやすくしているし、ほかの汚れに洗剤が働きやすいようにしているわけなの。
姪* それはたとえば、どんなことを酵素がしているの。
伯母* タンパク質はね、ほかの汚れを繊維にくっつける、つまりバインダーのようなこともしているので、これを取り除けば、そんなタンパク質以外の汚れも落とすことになる。
姪* へぇー、おもしろいわね、それは。バインダーの留め具をなくしてしまうとほかの汚れもくっつけないわけね。
伯母* 皮脂汚れは襟垢なんかでよくわかる汚れね。それに食物汚れの中に含まれる脂質もあるわね。デンプンは米粒とかお芋とかカレーとかいった主に食物に含まれるデンプン質汚れを落としやすくする。これもデンプン質が持つ結合する性質を、酵素がスパッと切り離してくれているのよ。
姪* そうか、汚れをいかに衣類から取り除くかというところで、酵素がちゃんといい仕事してるってわけね。でも、それってなかなか目に見える形ではないし、どのくらい酵素のおかげで汚れが落ちてるんだろう。
伯母* タンパク質分解酵素についてだけど、その疑問には、こんなグラフをみてもらえば、少し酵素の働きを認めてもらえるかしらね。(図3)
図3 タンパク質分解酵素で上がる洗浄効果
図3 タンパク質分解酵素で上がる洗浄効果

姪* なーるほどね。あっ! おばさま、デンプン質こぼれていますことよ。
伯母* おやおや、わたしとしたことが…。

(つづく)


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