日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2006年3月15日更新
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参照カテゴリ> #03.基礎,洗濯 #03.CLEAN AGE 205号 

*お茶の間の目線から「お洗濯」を科学してみよう

< 第4回 >

お洗濯を考える
伯母* 伯母さんと
姪* 姪の会話


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界面活性剤の働きを助けている
“助剤(ビルダー)” というものたち

*今回は洗剤の助剤について

姪* 洗剤の進歩はすばらしいもので、『プロジェクトX』で取りあげてもいいくらいだ、というような意味のことを書いてあるメルマガを偶然検索でみたのよ。
伯母* へぇー、そうなの。あの番組は終わってしまったけど、おもしろい見方ね。ひとつの技術の歩んだ歴史としては、洗剤も特筆に値するという考え方は、確かにあると思うわ。
姪* むしろ洗剤に否定的な声の方が目立ってしまう今では、洗剤がすばらしいものだ、なんていってみても、? ということになってしまうでしょうね。
伯母* そうねぇ。身近なものだけに、ついあたりまえのようにみえてしまうものね。
姪* 水洗いだけでは落ちない汚れが落ちるとか、いったん落ちた汚れの再付着を防止するとかいった、界面活性剤の働きのことは、前にも聞いたけど、そのほかには、どんなことがあるのかしら? 強いて上げれば…。
伯母* ちょっと重複するかもしれないけど、まず衣類というのは、特殊な汚れでなくても、ふつうに一日着た肌着でも、見た目とは違う汚れがつくのよ。
姪* 一日着たくらいでは、たいして汚れていないんじゃないですか?
伯母* それが大間違いなのよ。見た目は汚れていないように見えても、実は例外なく、もうしっかり汚れているの。
姪* 着ただけで汚れるんだから、身体からでる脂なのね。
伯母* そう。ふつうに生活していると、皮脂が身体から分泌されるので、じっとしていても汚れているの。それは、皮脂を染色できる試薬で実験してみると、はっきりわかるのよ。
姪* 皮脂汚れって、ばかにできないのね。
伯母* それだけじゃないのよ。皮脂汚れが残ったままにしておくと、変質して黄ばみやにおいの原因になるし、だんだんと蓄積していくと、衣類の吸水性が低下するので、肌着の場合はとくに、とても着心地が悪くなってしまうのよ。
 洗剤を使わないで洗おうとすれば、そんなことがごく自然に起こってしまうわけね。
姪* それも洗剤とその成分である界面活性剤の役立ち、というわけなのですね。
伯母* うーん、それはそうなんだけど、実をいうとそれは話をわかりやすくするために、そうまとめていってるのね。
姪* …というと、実は違うんですか?
伯母* 違わないんだけど、正確に言うと洗剤の物理・化学的作用を充分に発揮させるには、界面活性剤だけじゃなく、ほかにも陰で役に立っているものがあるってことね。それが、洗濯の水を改質して洗浄効果を上げたり、汚れの再付着を防いだりするために配合されている、さまざまな“洗浄助剤(ビルダー)” といわれるものなの。
姪* 洗浄助剤? えーっ。そんなの初めて聞いたわ。
伯母* 別に秘密でも何でもないのよ。これは、界面活性剤の効果をより高め、洗浄力を上げる補助剤の総称で、それにもいろいろあるのよ。まあ、いってみれば界面活性剤の応援団みたいなものね。
姪* 応援団かぁ。
伯母* 洗濯するときの水は、洗剤が溶け込んで、界面活性剤の働きで衣類の汚れをはがして分離・分散させることは、前にも言ったわね。
姪* ええ。それと、お洗濯で汚れ落としに必要な3 つの要素についてもね。
伯母* そう、その水と洗剤と機械力で汚れを落とすためには、より汚れ落ちをよくするために、助剤を配合して洗浄力をよりアップする方法がとられている、というわけ。
姪* それは、市販されている洗剤の中にすでに含まれている…ということなんですか?
伯母* ウール洗い用には入っていないけど、それ以外には含まれていますよ。ただ、助剤の種類もさまざまだし、どれをどの程度配合するかは、各メーカーの商品設計によって、違ってくるのね。
姪* よく洗剤のコマーシャルなんかで、「酵素配合…」とかいってるけど。
伯母* それも、広い意味ではその一つといっていいでしょうね。酵素にもいろいろあるけど、たとえば繊維の奥に入りこんだ脂汚れやたんぱく質汚れを効果的に分解してくれる、という働きがあるのよ。そして、そのほかにも…というと、これは結構むずかしい話になりそうね。
姪* そこをなんとか簡単に…。
伯母* 代表的な洗浄助剤の種類からいうと、(1)アルカリ剤、(2)分散・再汚染防止剤、(3)金属イオン捕捉剤などがあるのね。そして、そのほかにも酵素、漂白剤、蛍光増白剤、泡コントロール剤などもあるのよ。
姪* やっぱりむずかしいわ。まず、(1)のアルカリ剤って、どんな役に立っているんですか。
伯母* アルカリ剤の代表的なものは炭酸ソーダ( 炭酸ナトリウム) なんだけど、これによって洗濯液をアルカリ性に保って汚れを取りやすいようにする働きがあるのよ。
姪* じゃ、(2)の分散・再汚染防止剤というのは?
伯母* これは、ポリマーといういわゆる高分子の働きで、汚れをはがして分散する力を高めたり、洗浄によって一度洗濯液中に落ちた汚れを、再び洗濯物に付かないようにする、といった効果があるわ。
 それから、(3)金属イオン捕捉剤、これがちょっとややこしいんだけど、思い切り簡単にいうとね…。
 たとえば、ゼオライトに代表される水軟化剤。水の中にカルシウム(Ca) とマグネシウム(Mg) が多いと硬度が高くなって、お洗濯には不向きなのね。そこで、水を軟らかくするために、金属イオンをつかまえて、イオン交換という働きを促進して、洗浄力の低下を防ごうというものなのよ。
姪* ふーん。それで、この他にもいろいろあるというわけね。

主要な洗浄助剤の種類と働き

姪*  そういえば、「洗剤がいらない洗濯機」とかいうのがあったような気がするけど、そういう場合は…。
伯母* 洗濯機メーカーも新しい洗浄方式をいろいろ工夫して開発しているけれど、だからといって洗剤が必要なくなることはないでしょうね。これまでも、新しい洗浄方式のうたい文句はいろいろあったけれど、今の技術では、どれもそれだけで洗剤が半分でいいとか、洗剤がいらないってことにはならないことだけは確かなのよ。
 とにかくこうした洗浄助剤と界面活性剤の働きが、相互に作用して、お洗濯の効率をぐーんとアップしてきたのは事実なのね。そして、助剤のおかげで界面活性剤の配合割合は、相対的に減ってきたともいえるのよ。
姪* 助剤が増えれば、界面活性剤をある程度減らせるということね。
伯母* まあね。それが望ましいとか、それが目的ということではなく、結果的にそうなるということね。(つづく)

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