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2005年12月15日更新
01.*お茶の間の目線(2) *目次へ 
参照カテゴリ> #03.基礎,洗濯 #03.CLEAN AGE 204号 

*お茶の間の目線から「お洗濯」を科学してみよう

< 第3回 >

お洗濯を考える
伯母* 伯母さんと
姪* 姪の会話


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お洗濯ではやっぱり「洗剤」がないと困る
その果たしている役割とは

*今回は洗剤の基本的役割がテーマ

姪* 水洗いだけでは落ちない汚れも、洗剤などを使えば落ちるってのは、どういう理屈なのかしら。
伯母* そうねえ。それを説明する前に、もう一度おさらいをしておくと、汚れにはいろいろな複合原因があること、だから水洗いだけでは落ちない汚れも多いこと、汚れが付着する要因とそれが付く形態にもいくつかあること、汚れを落とすにはもみ洗いなどの機械力を加える必要があること…。
 これまでは、だいたいそんなことを言ってきたわね。
姪* そこで、お洗濯には洗剤がどうしても必要になってくる…と。
伯母* つまりね、衣類の汚れを落とすお洗濯には、3 つの要素が必要なのよ。
姪* 水と洗剤と洗濯機ね?
伯母* 惜しい! 「水と洗剤」までは当たっているんだけど。洗濯機というのは、確かに一つの道具ではあるけれど、要素でいうとそれが、「こすったり叩いたりする機械力」または「物理的な力」ということになるわね。
姪* そうか、洗濯機でなくても手でこすって洗っても、物理的な力は生じさせることができるんだもんね。
伯母* そう。たとえばね。衣類の場合には避けられない皮脂汚れのような脂汚れは、それが水をはじくという性質をもっているのよ。だから、これが衣服の繊維に一度付いて、奥に染みついてしまうと、水と機械力だけでは容易に落とすことができないのよ。
姪* 前回みた、あの顕微鏡写真が頭に浮かんできたわ。そうか。水と洗剤だけでもだめだし、機械力と洗剤だけでもだめ。3 つの要素のどれが欠けても、お洗濯はきれいに汚れを落とせない…ってことね。
 それは、なにかで証明されているのかしら。
伯母* いろいろな実験があってね。洗剤濃度と洗浄度の実験で
は、洗剤濃度を上げると洗浄力が上がることが確かめられているのよ。
 でもね、同時に洗剤があまり少な過ぎてもきれいにならないし、濃度を一定以上を超えて上げても、洗浄力はあまり上がらないことも、ちゃんとわかっているのよ。
姪* なるほど。だから、洗剤は「適量」なのね。
伯母* そう。同様に、機械力がない場合の洗浄力は、著しく小さくなってしまうの。だけどね、これも過ぎたるは及ばざるが如しでね…。
姪* 必要以上に機械力をかければ、衣類の生地が傷んでしまうものね。
伯母* それとね、忘れていけないのは洗剤には「物理化学的作用」というものがあるわけだけど、その働きを洗濯機の機能や機械力で代替することはできない、ってことなのよ。
姪* 洗剤は、そんな難しいことをやっているの?
伯母* 難しいことというのではないのだけれど、化学というのも不思議なものよ。洗剤ひとつとってみても…。
姪* 洗剤は、お洗濯という作業のなかで、具体的にどんな役割を果たしているんですか。
伯母* それはね、洗剤に含まれている界面活性剤というものの働き、ということになるわね。
姪* あっ、それってマッチ棒みたいなのでしょう。どこかで、みたことあるわ。
伯母* マッチ棒みたいなのは、界面活性剤の分子構造のモデルなの。じゃ、改めて、これが3 つの界面活性剤の分子構造よ。(図1)
図1 界面活性剤の分子構造

姪* 一見同じようだけど…。中の文字が違うだけね。
伯母* まず、マッチの丸い頭のところが親水基といってね、これが水に馴染みやすい部分。それから、マッチの軸にあたる長いところが親油基といって、これは油に馴染みやすい部分なのよ。
姪* それって、矛盾してない?
伯母* あら、いいところに気がついたわね。ひとつの分子のなかで相反する矛盾する性質を合わせてもっているのが、界面活性剤の特徴でね。実は、それこそが汚れを落とす働きに、大いに役立っているの。
姪* へえー、そうなんだ。でも、どういう原理なのかしら。
伯母* このような構造を持った分子は、油と水のようにお互いに馴染みにくいもの同士の界面( お互いに触れ合う二つの相の境界をつくる面) に、吸着するので、馴染みにくいものを馴染ませたり、混ざりにくいものを混ざりやすくする働きをしているのね。
姪* それで、汚れが落ちるの?
伯母* じゃあね、この図を見て。(図2)

図2 汚れ落としのメカニズム

姪* あぁっ! なるほどー。マッチ棒が汚れを包み込んで、浮き上がらせているのね。
伯母* そうして、脂汚れや水洗いでは落ちないしつこい汚れを、衣類から剥がして洗濯水中に分散させたり溶け込ませることができるのよ。
姪* ちょっと待って。分子構造3 つあったけど、これみんな同じ働きをするんですか。
伯母* 同じですよ。石けんも界面活性剤もそれは変わらないの。
姪* では、この文字が微妙に違うのは…?
伯母* ものすごくといってもいいほど、界面活性剤の種類は多いんだけど、それぞれ構造が違い、異なる特徴をもっているの。たとえば、図1 の石けんでは水中の硬度成分( カルシウムやマグネシウム) と結びつくと水に溶けにくくなるのね。温泉で石けんが泡立たなくなるのもそう。硬度成分の多い水には不向きね。また、一般的にアニオン界面活性剤はいろんな汚れにバランスよく効果を発揮するのに対し、非イオン界面活性剤は特に油汚れに強い、という具合にね
姪* 洗浄に適したものを選んで使われているわけね。
伯母* それと、もうひとつ大切なことはね、再付着を防止する働きも洗剤にはあるってことね。
姪* 再付着?  汚れが?
伯母* そうなの。いったん衣類から離れた汚れが、洗濯水のなかに漂っているうちにまた衣類にくっついて、再汚染されたのでは、お洗濯してもきれいにならないでしょう。
姪* そうですねえ。それは困るわ。
伯母* 細かいことをいえば、衣類の素材と汚れの種類にもよるけれど、適正な量の洗剤を使えば、それも防いでくれるのよ。
姪* そうなのかぁ。偉いわねー。洗剤って。(つづく)


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