日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2005年12月15日更新
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いまだに地方自治体が
“合成洗剤反対運動支援” !?


「“合成洗剤対策”“石けん推進” に関する要綱等」の実情
コミュニケーション推進専門委員会が全国自治体アンケート調査

 “合成洗剤は身体に悪い” “合成洗剤は環境によくない”。…そういった誤った情報は、現在でも印刷物やWeb などでしきりに流されています。意図した悪意に基づくものや自分の商品を売るために誹謗をするものもありますが、その多くは正しい情報を得られず、誤った情報を鵜呑みにしたり、誤解に基づくものが多いと思われます。なかには、ほんとうに善意でそう思い込んで、一生懸命活動している人もあるのでしょう。
 しかし、そうした誤解や誤った情報がなくならないその背景に「県や市町村が指導しているから」「自治体が要綱などで洗剤追放の方針を示しているから」「石けん推進の活動を市町村が予算を使って支援しているから」ということがあるとすれば、それは大きな問題ではないでしょうか。
■□ 全国地方自治体6 割弱から回答
 日本石鹸洗剤工業会では、コミュニケーション推進専門委員会が中心となって、みなさんに正しい情報を理解し伝えていただくよう、地方自治体へのPR 活動も続けてきましたが、今回根本のところがどうなっているのか、その実情を把握して今後の基礎資料とすべく、アンケート調査を実施しました。
 アンケートは、2005年9月から10月にかけて全国769自治体(47 県・722市) に発送し回答をお願いしましたが、そのうち56%にあたる432自治体(35県・397市) から回答をいただくことができました。
 質問事項は、(1)「合成洗剤対策」または「石けん推進要綱」などの有無、(2)それらに関連する予算補助金の有無、(3)要綱等にもとづく市民・団体等の活動の有無、(4)当工業会への意見などでした。
 回答のあった432自治体のうち、そういった要綱はないというところが91%、要綱を廃止したところが2%で、残りの7%にあたる30自治体では「要綱等がある」との回答でした。また、そのうちの10自治体と、要綱等のない20自治体では、「予算がある」とのことでした。
■□ 「要綱等」の意味と問題点
 そもそも、これらの「要綱等」とはなんでしょうか。
 なぜ、当工業会がそれらを問題としなければならないのでしょうか。
 30自治体で現在もある要綱等が設けられたのはいつか、それを整理してみると“きっかけは琵琶湖条例”であったことがわかります。滋賀県が琵琶湖の富栄養化の原因を、一部リン分も含んでいた当時の合成洗剤に求め、その全面的な使用の禁止と粉石けんへの切り替えを図ろうとしたのが、1980 (昭和55) 年のことで、それに追随した各自治体でも盛んに要綱等がつくられていたのです。
 そして、その多くは制定当時のまま廃止もされず残っており、なかにはその後に制定されたり改訂されて続いているところもあります。昔に有リン洗剤の規制を目的に制定された要綱が、実情に合わなくなっているにもかかわらず、形骸化したまま、廃止もされずに残っていることも、あるいは改訂までされて相変わらず誤った認識のもとに予算が執行されたりしていることも、どちらも問題だといえます。
■□ 時代遅れで実情に合わない「要綱等」
 これらの要綱では、表現などにそれぞれ若干の相違があるものの、基本的に合成洗剤 (または有リン洗剤) を否定し、石けんを推奨し、廃油石けんづくりなどを支援することなどを骨子としている点では、その多くが共通しています。
 要綱が内包している問題点をレベル分けして、該当する自治体を例示したのが右図です。
 歴史的な経緯の中で、合成洗剤が発泡問題を起こしたり、一部の学者から有害説が唱えられ広まったのは事実です。しかし、それは1965〜70年頃の話であり、長い慎重な調査の末、83年には厚生省が国としての最終結論をだし、洗剤の有害性は否定されています。
 また、生分解性の高いLAS への切り替え、無リン洗剤の開発と早期の切り替えによって、環境影響についてもさまざまな調査で測定監視されつつ、問題のないことが確認されて今日に至っています。洗剤が無リン化された後も、今に至るまで琵琶湖のリン濃度の低下はみられず、それはとりもなおさず「富栄養化問題の原因は、もっと総合的なもののはずで、洗剤のせいにするのは間違いだ」という、当時の業界の主張が裏付けられた結果となっています。
 つまり、今も毎年度予算も使って、活動の裏付けを提供している要綱などは、一人歩きしている過去の亡霊ともいうべきもの、ともいえるかもしれないのです。

要綱等の内容と該当自治体

■□ アンケート結果を踏まえて
 そういった過去の歴史的経緯など、まったく知らない世代に、今や消費者も行政もメディアも世代交代しています。それだけに、このアンケートの結果を踏まえつつ、いっそう正しい情報に基づいた理解を広げる努力を続けていき、コミュニケーションをはかっていくことが重要と考えています。
 昨年改正された消費者基本法は、「消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保」をうたっています。また、消費者政策の推進は「国際的な連携を確保しつつ」行なうべきことも求めています。この度のOECDが出したLASの環境影響評価の結果を尊重すれば、国際的な認識と要綱との不整合は明らかになります。
 さらに、この法律では地方自治体の責務として、「国の施策に準じて施策を講ずる」ことを規定しています。要綱等を持つ自治体では、国が問題なしとしている結論に照らして、それらを見直す責務があるのではないでしょうか。(この調査結果の詳細については、セミナーのページに掲載されています。


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