日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2005年6月15日更新
01.*お茶の間の目線(2) *目次へ 
参照カテゴリ> #03.基礎,洗濯 #03.CLEAN AGE 202号 

*お茶の間の目線から「お洗濯」を科学してみよう

< 第1回 >

お洗濯を考える
伯母* 伯母さんと
姪* 姪の会話


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衣類の汚れにはいくつかの複合原因があり,“水洗い” だけでは落ちないものも多い

*前回のプロローグに続いていよいよ本題に

姪* おばさん! またお洗濯? 新しい洗濯機の調子はどう?
伯母* いらっしゃい。快調快調。全自動はやはり楽だわ。ちょ
うどいまお洗濯もひと区切りついたので、一休みしてお茶にするところよ。
姪* ラッキー!  さっそくだけど、ちょっと考えたんです。「お洗濯の目的とは」どういうことなんですか。
伯母* おや、いきなりの大疑問ですね。改めていうと、その主な目的は「衣服に付着した汚れをいかに落とすか」というところにあるわね。
姪* 改めて聞いてみても、単純ですね。当然のことを聞くようだけど。
伯母* でもね、当然で単純な裏にも、なかなか奥が深いわよ。たとえば、汚れの成分やその性質を理解することは、非常に重要なことなんだけど、わかるかな。
姪* 汚れの原因にもいろいろあるってことなんだろうけど。
伯母* そうね、それを「汚れの由来」というんだけど…。
姪* 下着などの衣類はとくに、身体から出る汗とかで汚れるし、なにか外から埃とかが付いて汚れるんでしょうね。
伯母* ピンポン! 大きく分けるとね、「自分の身体から分泌される汚れ」と、「外から付く汚れ」の二種類に分かれるのよ。
姪* 身体から出る汚れって、汗は自分でわかるけど、そのほかには…。
伯母* 身体由来の汚れとしては、分泌する汗のほかに皮脂、表皮角質などがあるのよ。これは、はっきりと目には見えないけれど、衣服と体が接触することで、確実に日常的に衣服( 特に肌着やエリ・袖まわり) に付着しているのよね。
姪* 白いワイシャツの襟の汚れは、確かによく目立つけれど、見た目では汚れているようには見えなくても、実は汚れていることも多いってことなのかな。
伯母* そういうことね。だから、見た目だけで「まだ汚れていない」と思っていても、においがしていたりすることもあるからね。
姪* 下着などは、だいたい毎日取り換えて洗う、という人は多いと思うけれど、それ以外の衣類はとなると、みなさんどのくらいの間隔で洗っていらっしゃるのか、そんなデータはないのかしら。
伯母* データはないようね。衣類の種類にもよるので、いちがいにこのくらいが適当とは言いにくいけれど、以前は汚れたから洗うだったのが、近頃では着たから洗う、というふうに変わっているというのは、よく言われることね。
姪* なるほど。では、身体由来ではない汚れっていうのは?
伯母* 外部由来の汚れと呼んでいるものがあるの。これにも、見た目で明らかに汚れている、とわかる汚れもあるし、一見わからない汚れもあるけど、排ガスやススのような、カーボンと呼ばれる黒色の粒子状物質が付着しているのね。それから、土などからの微粒子状の汚れで、これらもやはり日常的に衣服に付いているわけよね。
姪* 泥はねが付いたとか、食べこぼしが付いたとかの汚れは明らかにわかる、そういう汚れだけではないのね。
伯母* 食べこぼし汚れや泥はねのような汚れは、ある状況の下で突然発生する汚れなので、毎日いつも発生するわけではない…。
姪* でも、これはいちばん気になる汚れだから、誰でもすぐあわててきれいにしようとするでしょうね。
 はい。汚れの由来には、二種類あるということはわかりました。
伯母* よろしい。では、次には「汚れの性質」で分類してみましょう。これでみると、水溶性の汚れと水不溶性の汚れの二種類に分けられるのよ。
姪* 要するに、“水に溶ける汚れ” なのか“水に溶けない汚れ”なのか、ということですね。で、水に溶ける水溶性の汚れなら、水洗いでも簡単に落ちる…。
伯母* だから、泥はねとか、食べこぼしなどの汚れは、すぐ水で洗い流せばいいのよ。ただ、泥や食べこぼしの汚れの原因になった物質の性質によっては、それだけでは解決しないこともある、ということね。
姪* 水溶性ってのには、どんなものがあるのかしら。
伯母* その代表的な汚れは、身体由来ではいわゆる汗成分ね。これは塩分やアミノ酸などからなる汚れなので、水を媒質として使う家庭洗濯では容易に落とすことができる汚れなの。
姪* そうなのか、汗はもっとしつこいのかと思ってた。外部由来の汚れで水溶性というと?
伯母* 果汁や牛乳、お醤油とかお茶類などには、変質する前なら水で簡単に落ちるものもあるわね。ここで注意しなければならないのはね、身体由来と外部由来の汚れは、通常は複合化しているってことね。
姪* そうか、汚れなんだからそんなにきれいには分けられないわけなんだね。
伯母* それともうひとつ。汗は水溶性なので家庭洗濯で落ちると言ったんだけれど、逆にクリーニング屋さんのドライクリーニングでは、水のかわりに、石油といった水溶性成分を溶かすことのできない溶剤を使用しているので、汗ジミ汚れが落ちにくいことになってしまうの。
姪* ええっ? そうなの。それじゃ困るでしょうに。
伯母* だから、実際のドライクリーニングでは、溶剤だけでなく、水溶性の汚れを溶かし込むための洗剤も入れているのよ。
姪* なるほどね。毎日の汚れのなかにも、水で落とせるものと落とせないものがある、ってこともわかったわ。
伯母* それだけじゃないのよ。水不溶性の汚れのなかにもまた、“粒子状の汚れ” と“水とは混ざらない性質( 疎水性・親油性)の汚れ” の二種類があるのよ。
姪* どちらも水では落ちにくいのよね。
伯母* そうなんだけど、粒子状の汚れのうち水に濡れる性質( 親水性・水分散性) のものは、汚れてから長い時間経っていなければ、水と機械力で落とせる汚れもあるのよ。粒子状の汚れの場合には、その粒子が繊維の隙間に潜り込んでいるような場合も多いでしょう。そんな場合には、機械力…これはいうなればもんだりこすったり叩いたりといった物理的な力ね…それで繊維の隙間から引き出さなければ落ちないことになるの。
姪* もみ洗いも「機械力」なのね。
伯母* もうひとつの、油性あるいは疎水性の汚れは、水に濡れにくいでしょう。そのため、水では落ちないので、どうしても界面活性剤や溶剤の力を借りなければ、落とせませんよ。とくに、ふだん衣服につく汚れには、水と機械力だけでは落とせない汚れが多いということは言えるわね。
姪* じゃ、よく宣伝していた「洗剤を使わなくてもきれいになる」ってのは、なんだったのって疑問が…。
伯母* そう。水だけでも落ちる汚れをモデルにして、洗剤を使わずに落とせる「新機能搭載の洗濯機」などと、洗剤の働きが必要な汚れまでも、洗剤なしで落とせるかのような誤解を与える売り込みもあったわね。これは、特別なことを言わなくても、普通の洗濯機で水だけで洗濯をして、両方の効果を比較して見れば、すぐにわかることなんですけどね。
衣類に付く汚れの種類
衣類に付く汚れの種類

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