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2005年3月15日更新
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参照カテゴリ> #01.セミナー #03.洗濯 


よりキレイに、より簡単にお洗濯
……欧米の洗濯事情と日本との違いを考えてみる……

日本石鹸洗剤工業会のコミュニケーション推進専門委員会では、年数回のメディアセミナーを開催しています。その内容については、JSDAのホームページで紹介していますが、昨年末のセミナーの資料から、日本と欧米の洗濯事情はどのように違うのか、またどういう点で同じなのか、について抽出してまとめてみました。データの詳細についてはセミナーのページをご参照ください。

■まず洗濯機から違うが合成洗剤を使うのは同じ
 洗濯という家事の実際にも、お国柄からその洗濯環境などにも違いもあります。まず、洗濯機が違うのです。
 日本で主流を占めている洗濯機のタイプは、パルセーター式(渦巻き型)ですが、米国ではアジテータ式(反転型)であり、欧州へ行くとドラム式(縦回転型)が主流と、それぞれ特徴があります。たとえば、欧州の洗濯機はドラム式主体なので浴比が小さい(洗濯物の量に対して水の量が少ない)のが特徴ですが、米国のアジテータ式では、からみが少ないのが特徴といえます。
 しかし、合成洗剤が広く使われていて、汚れを落とす剤の主体となっていることは、日米欧ともに共通となっています。その合成洗剤の成分も、ほぼ世界的に共通なのですが、洗剤の使用量を洗濯物の重量あたりの界面活性剤量で比較してみると、日本では欧米よりもその使用量は少なく、環境排出量も比較的低いといえます。


代表的な洗濯機の構造 左からパルセーター式、アジテータ式、ドラム式


■欧米に見られる最近の新しい動き
 欧州では、エネルギー節約ということがクローズアップされています。このため、洗濯機の水使用量が大幅に減少(1990年=70L → 2002年40L)したうえ、洗濯温度の低温度化(1990年=60℃ → 2002年30 〜 40℃)といった対応がとられています。ところが、使用量・低温度化は進んだものの、洗浄力という意味での洗濯環境は悪化してしまいました。エネルギー効率を重視するあまり、洗浄力自体は下がっているという現象が起きているのです。
 米国でも、2007年には「水とエネルギー節約に関する法律」が、施行される予定になっています。35%のエネルギー削減を目標とした、この法律に対応するため、欧州タイプのドラム式を含む「高能率洗浄」(HighEfficiency)機能を持つ洗濯機が急成長中なのです。
 ドラム式は、水の使用量が少ないので、技術的にエネルギー削減への対応がしやすいとされています。そこで、洗剤もこの動きに対応して、ドラム式に適した低発泡性の洗剤が出てきました。水の使用量が少なくても、溶けやすくするなど、洗剤自体の設計に工夫が見られます。

■日本では大容量化・乾燥機付き洗濯機が増加
 では、こうした欧米の動きに対して、日本ではどうなのでしょうか。日本で特徴的なのは、洗濯機の大容量化が進んでいることです。
 1993年には約40%が2kg以下でしたが、2002年には約40%が7kg以上を占めるまでに至っています。また、さまざまな機能が追加されており、乾燥機付き洗濯機、高濃度洗浄システムなどが増えてきています。欧州型の水消費量が少なく、高濃度洗浄環境であるドラム式の普及率も徐々に増加しており、2004年には約10%程度に達するとみられています。

■ドラム式の特徴
 酵素や漂白剤の配合された洗剤は、高濃度でより高い洗浄力を発揮することができます。ドラム式洗濯機はこのような洗剤の特性をうまく取り込むことにより、高い洗浄力を期待することができます。
 また、たたき洗いによるドラム式では、パルセーター式やアジテータ式よりも繊維が傷みにくいこと、少ない水で洗濯できる節水型であることも特徴といえます。これまで導入の阻害要因であった、洗濯機の大きさ、重さ、騒音などが改善されてきたことが普及の背景にあります。
 ドラム式は、一般に洗濯・すすぎ時間が長くなり、そのために電力消費は大きくなりますが、反面、水量が少なくなるので、先のそれぞれの特徴とあわせて、総合的に考える必要があります。

■欧米に比べてまだキビしい日本の洗濯条件
 常温の水を使う日本の場合は、加温したお湯を使うヨーロッパや液体洗剤使用の多い(2001年で70%)米国とは洗濯の条件が違います。洗剤量ひとつとってみても、日本では以前は使用する水量に対する洗剤の投入量目安を表示していましたが、現在では洗濯物量に対する目安も併記されています。これに対して欧米では、汚れの度合いが目安になっています。
 欧州タイプのドラム式洗濯機では、水使用量がもともと少ないため、洗濯物量が変化しても水量の調整はさほど重要ではなくなります。日本の洗濯条件は、洗濯機の大容量化といった変化に伴い、温度・洗浄時間・洗剤使用量(洗剤濃度)なども、見直す余地がありそうです。

■適正量は水量基準から洗濯物量基準へ
 前述のように、日本では洗剤の主要な洗浄成分である界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)を参考に、「水30L に対して20g」というように、水量に対して洗剤量を決めていました。
 しかし、洗濯機の大容量化に伴う洗濯物量の増加、ドラム式洗濯機の普及に伴う低浴比化などにより、水量に対して洗剤量を決めることが、必ずしも最適とはいえなくなりました。そこで、平成9 年の家庭用品品質表示法の改正にともなって、使用量の適量についてわかりやすく表示するようになりました。
 洗剤業界の対応としては、従来の水量基準から、洗濯物の量に応じた洗剤使用量の目安を表示するようになってきました。今後も、洗濯機の変化や洗剤の進化によって、“よりキレイに、より簡単に” を求めて、洗濯のポイントは、まだまだ研究の余地がありそうです。


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