日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
home JSDA概要 沿革 組織・会員 統計 資料・刊行物 リンク 総目次 English
JSDAの活動 安全と環境 石けん洗剤知識 役立つ情報 クリーンキャンペーン CLEAN AGE
2004年9月15日更新
01.*お茶の間の目線(1) *目次へ 
参照カテゴリ> #03.基礎,洗濯 #03.CLEAN AGE 199号 

*お茶の間の目線で「洗剤」を見直してみると
< 第七回 >

もしも洗剤がなかったとしたら?…日常生活に欠かせない必需品だから

妻*夫*のお茶の間に先生*濯木先生を招いてお茶の時間。
今回でおしまい。


←前へ

 考えてみれば人類の歴史始まって以来、身の回りをきれいにする工夫をしてきたわけですね。
 「これで洗ってみたらどうだろうか」と、いろいろ試行錯誤してみたその努力たるや大変なものですよ。
 しかも、石けんの原理などは紀元前から今まで、基本的にはあまり変わっていないというのもすごい…。
 それが、ある意味で「石けん神話」のベースになっているかも知れないですね。そんな「大昔から変わらずあるのだから石けんは安心だ」、それに対して「比較的最近化学的に合成されてできた洗剤は不安だ」、と短絡してしまう意識がなんとなくあるのかな。
 洗剤が生活の必需品として必要だとは思うし、役立っていることはわかるし毎日使っているという人でも、だがなんとなく体に悪いし環境にも悪いのではないか、というイメージが頭の片隅か中央かに刷り込まれた情報としてあるのですかね。
 洗剤の誕生から今日まで過去の歴史を振り返ってみると、それには原因があるといえますね。結局、情報の質と量の問題でしょう。当初は、ある一部は純粋に人体や環境への影響を懸念した問題提起であったかも知れないのですが、長い間にいろいろな経緯を経て科学的・学術的にそれが否定されても、なおかつ意図的に垂れ流され続けてきた「洗剤=悪者」情報が非常にたくさんある、それが一番大きな問題でしょう。
 科学的・学術的に調べた結果、洗剤の使用には問題がないと国も正式に結論を出しているのに、いまだにどうしてそうなのでしょうね。
 いくつかあげられますが、まずひとつは自社の製品を売るために洗剤を攻撃しているパターンです。これはいわば、刷り込まれた消費者の潜在的な不安につけ込んで危険だ危ないといって不安をあおり、「うちの商品は安全です」と特定の商品を売ろうというものですね。
 でも、そっちのほうが洗剤よりも本当にいいのなら、それでもいいのでは…?
 基本的にどの商品を選ぶかは消費者の自由に任されるべきですから、それはそうですね。だけど、売らんがために根拠のない情報、誤った情報を出して自社製品を売るというのは悪意のある情報操作です。
 そういう「うちのこの製品が安全だ」というものは、本当に安全なのですか。
 それは洗剤も安全なのですから、同じように安全なのかも知れません。実際、よく調べてみるとそういう「危険です商法」で安心だ環境にいいといって売られているものも、実は一般に市販されている商品と成分には大差がなかったりするのです。
 でも、近所の奥さんにそういう商品を買っている人がいて、その人の話ではちゃんと実験をやっていて普通の洗剤と違いがよくわかる、といってましたけど…。
 その実験というのがクセ者ですね。金魚やゴキブリが死ぬとかカイワレダイコンが発芽しないとか、一部分の都合のいい現象だけを取りあげて強引に自己の主張する結論へ持っていくといった、科学的ではないすり替え論理の実験が、まことしやかに行なわれています。そういう人たちは発芽テストを「小・中学生の夏休みの自由研究などに」と勧めている…。
 そういう変な実験を小・中学生の自由研究にと勧めるのはよくないですね。
 よくないです。しかも、さらに問題なのはそういうパンフレットの類いが、市町村の公共機関においてあるということでしょう。誤った情報が蔓延するもう一つの原因は、自治体のなかには、この問題に間違った対応をしているところがあるからです。
 自治体にも逃げの姿勢でなく、国の判断に基づいてきちんと科学的で合理的な判断をしていただくのが筋というものでしょうね。
 石けん運動だとか、手づくり石けんなども、やっている人も傍で見ている人も一見いいことをしているように思い込みがちですが…。
 これも実は問題がありますね。まず、洗剤より石けんの方が環境にいいという前提が間違っているのであって、環境影響ではどちらも使い過ぎはよくない点では同じです。ことに廃油の手作り石けんは、劇物のカセイソーダを使い高温で長時間かけて作るので、危険で、とてもすすめられるものではありません。かき混ぜているときに飛びはねてやけどをしたり、目に入ったら失明する危険さえあるんですよ。個人の趣味でやっているうちはまだしも、身体も洗えるといって他人に勧めたりたくさん作って配ったりということを自治体が後援するなど、もってのほかとあえて厳しく見るべきなのです。
 洗剤を石けんに置き換えて使えば環境にいいかというと、そうではないのに…ですよね。化学的な合成洗剤は悪いと決めつけて頭から信じ込んでいる人も少なくないんでしょうね。
 なにごともそうですが、極論に走ると何の解決策も見えてきませんね。結局、これだけ進歩した文明を否定して江戸時代くらいまで後戻りせよ。というような話に行き着いてしまいますからね…。
 界面活性剤は洗剤以外にも食品や衣料、医薬品、化粧品、工業用などを含めて社会的にいろいろな分野で広く使われていて、洗剤は悪いという人でもさまざまな恩恵を受けているはずですね。それぞれ、安全や環境の問題も充分研究されたうえで使われているのです。
 しかし、洗剤もたくさん使い過ぎてはいけない、といわれていますね。それはやはり害があるからではないのですか。
 「適量を使いましょう」の意味は、ひとつには必要以上によけいに使っても洗浄力に変わりがないのでムダだということと、もうひとつは洗濯後の汚水を処理場を経ないで垂れ流しにした場合には、いくら生分解するとはいってもやはりそれだけ環境への負荷をかけることになってしまうからです。石けんであっても、大量に河川に流れると環境に大きな負荷をかけることは変わりありません。
 人体に害はないんだけれど、環境にもほとんどは処理されているから大丈夫なんだけれど、うまく使いうまくつきあうということは必要なのですね。
 洗剤の使用量自体は、統計的にみると93年をピークに減っているのです。業界としては少ない量できれいに洗えるように性能向上を図り、使用量を減らす努力もしてきたけれど、一方で使う人の意識もあるということでしょうね。過剰な清潔意識からか一回着ただけで洗剤をたくさん入れてじゃぶじゃぶ洗わないと気がすまないというような人もある。水も極端に少なくして節水したほうがいいと思っている人も多い、洗剤の使わなさすぎもあるのです。洗剤容器に表示してある適正な使用量の目安を参考に、必要な量を使って使いすぎを抑え環境配慮に参加していただきたい、ということでしょうね。
 企業だから商売だからただ売れればいいというものじゃない、消費者に正しく使ってもらいたい、適正に使ってもらいたい、それこそが業界の願いでしょうし、努力しているところだと思いますよ。なにしろ、消費者に理解され信頼されないと商品どころか、会社の存続性にもかかわる時代ですからね。
 「もしも洗剤がなかったら…」ということを考えてみれば、いかに洗剤が有用で日々の暮らしに欠かせないものか、改めて実感します。
 洗剤がなかったとしたら、一週間洗わなかったとしたら、お風呂に入らなかったとしたら、洗濯機で水だけで洗ってすませるとしたら…? もう大変でしょうね。
 昔から洗うために大変な努力をしてきた、何かの洗う剤を使ってきれいにしてきた、それは水でごしごししてもどうにもならなかったからです。そうして、石けんができ、洗剤ができてきた。そうしてわたしたちの生活は快適できれいで便利になってきたけれども、地球環境を守るという点では、まだまだ企業も消費者も努力を続けなければならないことは確かでしょうね。

(完)



▲上へ

HOMEJSDAの活動安全と環境誤飲誤用石けん洗剤知識役立つ情報クリーンキャンペーンCLEAN AGEこどものページJSDA概要沿革組織 会員統計資料 刊行物リンク総目次English

日本石鹸洗剤工業会 (JSDA)
〒103-0027 東京都中央区日本橋3-13-11 TEL 03-3271-4301 FAX 03-3281-1870
Copyright(c) Japan Soap and Detergent Association 2000-2010 All Rights Reserved.