日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2004年6月15日更新
01.*お茶の間の目線(1) *目次へ 
参照カテゴリ> #03.基礎,洗濯 #03.CLEAN AGE 198号 

*お茶の間の目線で「洗剤」を見直してみると
< 第六回 >

コンパクト化で洗剤はいちだんと進化した…
負荷を減少させ省資源・ごみ排出削減にも効果

妻*夫*のお茶の間に先生*濯木先生を招いてお茶の時間。


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 いい季節になったので、今日のお茶はテラスでご用意しましたよ、濯木先生。
 いいですね。風もさわやかで、花や木もきれいで。
 最近は、この近所でも川のそばの遊歩道や花壇が、整備されてきましたが、散歩に行かれていますか?。
 ええ、毎日。でもね。よくごみが落ちているのが気になりますね。川の中までは拾えないし、拾えるごみは拾うんだけど、今度はそれを捨てようとしてもごみ箱があふれていたりして…。
 ほんとに。環境問題はお茶の間や近所の散歩道まで、日常の身近なところにつながっているんですね。
 でも、大きいところでは温室効果ガスの排出量を削減しようという京都議定書も、いざとなると各国のエゴでなかなか足並みがそろわないようだし…。
 そもそも温暖化対策の必要性が真剣にいわれはじめてから10年かかってどうにかここまでこぎつけ、さらに5年たってようやく批准にまで達しようと苦労しているのですが、最大の排出国アメリカはさっさと一抜けた〜、ですよ。環境問題は、国や企業や個人のエゴがからむのでなかなか簡単ではないのですね。
 それでも、生活に直結する部分では、個人の意識と努力で少しでもなんとかしよう、できる…というところはたくさんあるのでしょう。
 それはありますね。そうした視点から、いろいろに環境対策が論議され、行動に移されるのはとても貴重で必要なことです。ただ、その方向がずれたり間違っていたりすると困ることもあるのですが。
 いわゆる「洗剤悪者説」もそうした環境問題の視点からいわれることが多かったようですね。
 しかし、水質汚染や人体安全性・水生生物影響などについては、これまでのお話で、科学的に否定された過去の見解を論拠にしていたり誤解や曲解に基づくものも多いということでしたが、そのほか改めて洗剤を見直してみると、どんな点があげられますか。
 ふた昔くらい前までの洗剤をご記憶の方も多いと思いますが、洗剤はかなり大きな箱に入っていて、上の注ぎ口を開けてその箱を両手で抱えて洗濯機の中に傾けて上下に振りながら洗剤を入れる、という使い方がされていたのです。
 そうそう、百科事典2〜3冊分くらいの箱でしたね。それを思うと今の洗剤の箱はずいぶん小さいですね。
 そうか。それはどうしてなのですか。
 昭和50年代頃から、製造業の間では“軽薄短小”が技術革新を進めるうえでのひとつのテーマとなっていました。一方では、企業も社会的存在として地球環境という大きな目から見た省エネ・省資源対策を、企業活動の中に自然に普通に取り入れていかなければならない、という認識が一般的になっていきました。そういう流れが背景にあった。
 “軽薄短小”は流行語にもなりましたが、洗剤の場合はどうして可能になったのでしょうか。
 洗剤のコンパクト化が進行したのは昭和60年代に入ってからなのですが、実はこれは日本で始まり、今や世界のスタンダードのひとつになっているものです。それまでの洗剤の粒子は溶けやすさを考えた中空構造になっていたのです。ポップコーンのように空気が入る中空部分があったので、これをなくするという技術革新が進んだ結果、容積はそれまでに比べて4分の1くらいまでに抑えることができたのです。
 なるほど。それで箱も小さくなったわけですね。
 それは中空部分を圧縮しただけなのですか。
 いやいや、表面だけ見れば単に圧縮しただけということにもなるのですが、いろいろな点で総合的に洗剤の進化があった、それがコンパクト化という形とほぼ同時期に結集したともいえるのです。
 そうなんですか。たとえば?
 まず、使用量を減らして少ない量で汚れを落とすことができるようになったことです。また、中空がなくても容易に溶けるように、溶解促進剤も研究導入されました。粉末が固まらないように粉末化剤が使われていたのですが、これがなくてもケーキング(粉が固まってしまう)を防ぐことができるよう工夫されました。
 そして、以前から進められていたバイオ技術の研究もさらに進展し、タンパク質や脂質などの汚れを分解する力に優れた各種酵素を洗剤に活かすことが定着してきました。90年代半ばからはさらに新しい界面活性剤の開発や配合技術の進歩によって、少ない量できれいに洗えるようになったのです。
 この時期に洗剤はパッケージの見た目とともに、中身も大きく進化していたのですね。
 容積が圧縮されたというだけでは、使う洗剤の量は減らないし、むしろ使い過ぎになりやすいのでは?
 コンパクト化技術が進むにつれて、それから6〜7年後には洗剤の使用量は減ってきました。洗濯1回あたりの標準使用量でみると界面活性剤の量を30%も減らし、洗浄力も20%程度アップしたうえに、重量で62%、体積では80%も削減されているものもあります。
 そういえば、計量スプーンがついたのも…?
 この頃でした。スプーンによって計量する習慣を導入したのも、洗剤のムダな使用を抑えることにつながっていますね。
 箱が小さくなったというだけでも、省エネ・省資源にはなりますしね。
 これが案外ばかにならないのです。包装材料の削減、生産エネルギーの削減、輸送エネルギーの削減など、すべてにつながります。そして、もちろんごみ排出の削減効果も大きいのです。
 容器包装については社会問題にもなってリサイクル法ができて、ずいぶん変わったのでしょうね。
 洗剤の容器包装対策は、まずリデュース(削減)、次ぎにリユース(再利用)、そしてリサイクル(再資源化)の3Rによって、当初から一貫して行なわれています。はじめは世の中なにがなんでもリサイクルという硬直的な考え方もあったのですが、洗剤のボトルなどは用途からいろんな材料を使用しなければならないので、飲料用ペットボトルのようなわけにはいかない。
 そのペットボトルも、実効には問題もあるようですしね。

 実効をあげるためには、リサイクル一辺倒でなく実情に応じてまずリデュース優先を主張し、役所にも働きかけ、実現してきた、ということですよ。
 アメリカの経済学者ボールディングさんが、“宇宙船地球号”という考え方を最初に提唱したのは、もうかれこれ50年くらい前になるのですが、近年ではやっと環境問題もグローバルに、そして具体的に施策がだされるようになりましたね。

*一般廃棄物のうち、容積比では約6割、重量比では2割強が容器包装廃棄物といわれ、そのうち洗剤容器などが含まれる日用品からでるごみは、容積の10%を占めている。洗剤業界では、紙やプラスチックなど容器包装材料の削減、再資源化とリサイクルに力を入れ、詰め替え商品の普及もはかってきた。


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