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2003年12月15日更新
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参照カテゴリ> #03.台所 


ふくらむ食器洗い乾燥機専用洗剤市場
洗剤は「専用」でなければならないワケ 

「食後、家族がくつろいで団らんしているなか、わたしだけが台所に立って食器を洗い後かたづけをしなければならないのは、なんか悲しい…」
そういう主婦の気持に支持されてか、食器洗い乾燥機の普及が、いよいよ本格的になってきました。
高額であったため「贅沢品」のイメージも強く、そのうえ西洋皿を洗うのとお茶碗を洗うのは違う、食器ぐらい手で洗っても…というような感覚の違いもあって、わりと以前からあった商品なのに、一般家庭にはなかなか普及しなかった食器洗い乾燥機。
近年、コンパクトになって流しわきにも置け、店頭価格で5万円以下と安くなってきました。また、改良に改良を重ねて洗浄力をアップし、洗浄時間も短縮され、「食器洗い乾燥機」の名も定着し始めています。
その普及率は2年ほど前についに10%に達し、今年は15%くらいにまでなるのではないかと予測されています。
すでに使っている人は「もう手放せない」「洗濯機と同じで、あるのが当たり前」と思っているそうです。ライオン株式会社の調査では、40歳代以下の主婦では、「いずれ購入したい」と思っている人の割合が半数を占めるまでになり、そのイメージも「便利で手間が省け」「時間が有効に使え」「手荒れから解放される」といったプラス面が強く意識されるようになってきました。
こうなってくると、エース商品として家電業界で大きな期待がかかっているのは当然で、「手洗いに比べてガス・水道代が少なくてすみ、省資源・環境負荷も削減」と、近頃では“錦の御旗”になった感さえある環境訴求も忘れずPRにも力が入ります。

実をいえば、洗剤業界でもこの成長市場に各社が注目し、次々と専用洗剤を出しているのです。
最初は、食器洗い乾燥機を買うと「専用の洗剤」がついていて、電気屋さんでそれを買うというようなこともあったのですが、使いにくい、ご飯粒が落ちない、カートンタイプなので固まって最後まで使えない、といった不満もありました。
そこで、洗剤のことなら洗剤メーカーにお任せくださいと、専門メーカーの威信にかけて乗り出してきたのは、数年前からです。
食器の汚れは、茶渋やご飯粒など日本人の食生活に独特の汚れを考えなければなりません。ご飯粒を落とすためにはデンプン質を分解する酵素アミラーゼを配合し、卵料理・肉汁などのタンパク汚れにはプロテアーゼを配合と、洗い残しがなくきれいに洗えるよう、より洗浄力をアップしました。機械に投入する時に使いやすいように、容器やキャップにも工夫しています。
5年前にはまだ20億円に達していなかった食洗機専用洗剤の市場は、来年にはその倍を超える市場規模になると予測されているのです。

なぜ、食器洗い乾燥機に専用洗剤が必要なの?
台所用洗剤があるんだからあれでいいんじゃないの?
そうよ。現に食器を手洗いするときにはそれで洗っているんだしー。
なんでも「専用」にして売ろうとするのがメーカーの販売戦略だから、いいのいいの。うちはこれで間に合わせれば……ね!
おっと、待ってください。
なかなかうがったご意見ですが、それはちょっといただけないのです。理由なくして「専用」にはなっていないからです。
食器洗い乾燥機での洗浄には、まず密閉された機械の中で行なわれているという事情があります。その庫内で、置かれている食器に、高温の洗浄液を勢いよく吹き付けて汚れを洗い落とす方式がとられています。
通常の台所用洗剤のように、界面活性剤で汚れを落とすようにつくられた洗剤を使うと、機械の中は泡でいっぱいになってしまい、機械が故障する原因になります。また、泡が緩衝になって洗浄力も弱めてしまいますし、すすぎの邪魔にもなってしまうのです。
そこで、食器洗い乾燥機専用洗剤は、泡が立ちにくい界面活性剤を少量と、漂白剤や高温で働く酵素などの洗浄補助成分を配合し、アルカリ性の状態で汚れを落としやすくした処方がとられているのです。
最近では、「台所用洗剤で洗えるコース付き食器洗い乾燥機」というような製品もでたとか。
これについては、用途外使用の問題もありそうで、当工業会会員会社でも研究中です。

まだまだ発展途上の食器洗い乾燥機には、使用者の不慣れもあってか、失敗も多いようです。よくあるのは、プラスチック製食器が変形した、溶けた、ゆがんだ、はげた、クリスタルグラスが曇ってしまった、食器の絵付けや金線銀線が消えてしまった、などのトラブルです。

食器洗い乾燥機庫内は高温になり、アルカリ性での洗浄ですから、食器の材質によっては利用できないものもあります。プラスチック製品はそれぞれ耐熱温度が異なる、これがいちばんの注意ポイントです。
専用洗剤は、基本的には食器洗い乾燥機のサイズに合わせ指示してある量を投入します。機械によって多少違いはありますが、多くは一定量の水で“溜め洗い”を行なうので、食器の量にかかわりなく標準使用量を守ることが必要になります。
汚れが多い場合や食べ残りがある場合は、水で軽く流したり、ペーパーで汚れを拭きとっておくと、余分な電気や水を減らすとともに、フィルターのお手入れも楽になります。
また、めんどうだからいっぺんに済ましちゃおうと、あまり食器を詰め込みすぎると、洗浄液が食器に当たりにくくなり、洗浄力が発揮できませんので、ご注意ください。
 
さて、これでまたひとつ家事をたすける主婦の強い味方が増えました。冒頭のような嘆きはなくなるでしょうか。食器洗い乾燥機を購入して、家族が積極的に食後の後片づけを手伝ってくれるようになったのでしょうか。
前述の調査では、残念ながらそうはいかないようで、主婦だけが食後の後片づけというのが、あいかわらず大多数のようですが…。
なかには、かえって以前より家族の手伝いが減った、という声もあって、その理由が「食器洗い乾燥機があるんだからいいだろうと思われている」というのです。
やっぱり、そういうもんでしょうか。


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