日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2003年6月16日更新
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<新会長に聞きました>
「生活と環境の調和」をめざして

宇 野 允 恭
日本石鹸洗剤工業会会長
日本油脂株式会社会長

―――長らく日本石鹸洗剤工業会の副会長として会長を補佐してこられ、このたび会長に就任されたわけですが、この業界はどう時代に対応していくべきなのでしょうか。
社会が高度に発展し、さまざまな化学工業製品が普及して人々の生活が便利で豊かになってきますと、その一方でそれら化学工業製品の社会に与える影響が問題になってきます。これは石鹸・洗剤ならびにその原料となる油脂製品についても例外ではなく、これからは業界や製品の健全な発展を考えるとき、これまで以上に世界の動き、社会や消費者の意識にも目を向け気を配らなければなりません。
それはまた、個別の企業では扱いきれない問題であり、当然企業の枠を越えた業界として考え、行動すべき問題といえましょう。それも、社会的に問題として取りあげられる前に、常にプロアクティブに活動をしていかなければならないと思います。それが社会からも求められている、今はそんな時代といえるでしょう。

―――業界の主力製品でもある合成洗剤に使用されている界面活性剤をはじめとする化学物質の安全性や環境への影響、管理などに対して、日本でもPRTR法の施行やいわゆる化審法の改正などの動きがあります。業界としては、これまでの取り組みに加えて、何か新たな対応を考えておられますか。
石鹸や洗剤は、人の健康な日常生活に欠かすことのできない必需品です。これらは、毎日みなさんが使われるもので身近にあるものですから、安全性などの点でも広く関心がもたれるのは当然でしょう。
そのため、これまでも洗剤の環境やヒトへの安全性の確保のために工業会としてできる努力を、積極的に最大限してきました。長年にわたり、洗剤の原料になっている界面活性剤が環境中でどのくらいの濃度にあるのかを、日本の代表的河川で定点観測し、その情報を公開しているのもそのひとつです。これはその測定方法の研究も含め、他に類のないデータとして役立てていただいていますが、界面活性剤のみならず他の化学物質も視野に入れつつ、環境影響評価を継続し、社会的な責任を果たすべく努力していきたいと考えます。
このような活動を通して、あるいは公の調査研究の結果からも、洗剤に使われている界面活性剤の環境に対しての影響はほとんどないことがわかっており、みなさんのご理解もいただいています。
洗剤の価値を活かしつつ、環境負荷を可能な限り少なくして使用していくことが、消費者にとっても、また社会的にみた資源活用面からも重要なことです。

―――そういった活動で得られたことを、どのように世の中に伝えていくかも、情報が重要な役割をもつこれからの社会では、ポイントになりそうですね。
洗剤は身近なものであるが故に、一部消費者のなかには不安を持っておられる方があることは承知しています。過去を歴史的にふりかえってみますと、工業会ではこれまで河川での発泡現象、リンの富栄養化問題など常に前向きに取り組んできました。消費者とのコミュニケーションも昔から大切にしてきており、いろいろな機会をとらえて、工業会として科学的データの裏付けをもった正しい情報を学会や工業会の広報活動を通じて、消費者のみなさんや行政、マスコミに対して提供してきています。これまでに増して広く情報公開をすすめ、広報活動を重視していくことも必要です。
今年はマスコミの生活欄を担当されている記者の方々を対象に、洗剤や石鹸に関してより正しく理解していただけるよう、セミナーも計画しています。
これらを通じて、消費者のみなさんがいたずらに不安になることなく、これらの製品を安心して使っていただけるよう、的確な情報提供にいっそう努力していきます。
あまり知られていないと思いますが、石鹸洗剤業界では容器包装廃棄物の削減に早くから取り組み、大きな成果をあげ、他の業界からも注目されているくらいです。会員企業が容器包装に使用したプラスチック量を毎年調査していますが、この調査を開始した1995年と比較してみますと、その当時の容器、ボトルを使用していた場合の想定量に比べて、2001年における使用量は半分以下と大幅に削減しているのです。
こうした、循環型社会の実現に向けたリデュース、リユース、リサイクルを、工業会として率先して実行しているわけです。このようなことも含めて、今後は「生活と環境との調和」という視点からの活動をもっと展開していきたいですね。

―――化学物質の安全性などについては、世界的にもいろいろ見直しなど課題がありますが、世界との関係でいいますと、どのような活動をされていくのでしょうか。
これについては、いろいろな国際的なプロジェクトが進んでいます。まず、高生産量化学物質(HPV)の安全性の再点検活動があります。アメリカのHPVプロジェクトには、同国の石鹸洗剤工業会SDAが9つの界面活性剤等の化学物質の初期評価をリードしていますので、日本の工業会としてもこれに参加し、情報交換、データの提供を通して協力しています。また、ヨーロッパの石鹸洗剤工業会が実施している、HERAという洗剤の環境とヒトへの影響のリスク評価にはオブザーバーとして参画しています。その他、国際的な統一表示の検討が進んでいるGHSにも対応を始めています。
ASDAC(アジア石鹸洗剤工業会会議)でも、これらを含む各国共通のテーマに関して情報の共有化を図り、地球全体の問題として取り組んでいきたいと思います。

―――狂牛病問題では、牛脂も原料としている当業界でも大変でした。これからどのような影響が出てくるでしょうか。
日本も狂牛病の発生国になってしまったのは、とても残念なことでしたが、欧州で設定された原因物質の異常型プリオンの不活化の条件が日本でも採用され、その条件で処理された牛脂からの油脂製品は安全であるという、国としての基準が決められました。牛脂由来の油脂製品はプリオンが不活化されるプロセスで加工されており、安全で安心してお使いいただけます。
資源を有効に利用するという観点からも、牛脂をなんとか活用していかなければなりません。この面では石鹸洗剤業界は期待されておりますし、またそれに応えていかなければならないでしょう。
油脂製品をめぐっては、進み始めているバイオディーゼルと副生品のグリセリン活用の動向にも目を向けておかなければならないと考えています。
工業会がいろいろ対応しなければならない問題・課題は数多くありますが、当業界のますますの発展のために、会員企業ならびに関係各方面のみなさんのいっそうのご支援とご協力をお願いいたします。


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