とのお茶の間の会話。 今回は濯木先生とお茶…。
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なぜ水はきれいでなくてはいけないのか、水はあくまできれいであるべしという、日本人の心情的なところもありますね。上水道の水源にするとか、利用目的によっても違うでしょうが、水質汚染というのは、具体的にはどういう基準でいうのですか。 湖沼や川や海、それぞれに国が定めた水質環境基準というのがあるのです。そのポイントには、二つあって、まず健康項目は、人間の健康に影響を与えるおそれのある重金属やシアン、有機塩素化合物や農薬の成分など26項目の有害物質が、水を汚染していないかということに注意しています。つぎには生活環境項目というのがあって、BODやCODで測る有機汚濁指標や窒素やリンの栄養塩の濃度などで、水環境が汚れていないかをチェックしているのですよ。 生活環境項目を決めた目的はなんですか。 人の生活環境を保全するための指標として、また水道水の水源として適当かどうか判断する基準としてつくられています。BODやCODは、一般の家庭の台所、お風呂、洗濯排水などに含まれる有機汚濁の量を表す指標として、湖沼や閉鎖性の海域では窒素やリンなどを富栄養化の指標として基準に取り入れています。 生活環境項目のほうで、いつも「洗剤が問題だ」といわれるんですね。 洗剤に限りませんが、人間が生活の中で大量に排出することの影響を最小限にくい止めるのが生活環境項目の目的だといえますね。洗剤は、一般に日常生活の必需品として使用される量が多いので、これまでもかなりきびしくチェックされてきたんですよ。 大量に使われる洗剤の主成分である界面活性剤などが、大量に川や湖など環境中に流れ出し溜まっているのではないか、と心配する人もいるでしょうね。 泡だとか毒性だとか富栄養化だとか、いつも問題にされてきたそうですが、水環境に悪い影響を与えているんでしょうか、洗剤を使うことは…。 そういう不安に基づく質問を受けた各自治体から環境庁に、問い合わせが多く寄せられたり、実際住民運動で環境問題を取りあげると、必ずといっていいほど「洗剤をやめて石けんに」といった意見が出てきたりするのですね。 ところがこれまで、水環境と洗剤について、学術的にきちんとまとめたものがないというので、95年に、当時の環境庁の委託を受けた水環境学会の研究委員会が、『Q&A水環境と洗剤』という本にまとめています。3年前には改訂版が出ていますが、それによると、洗剤と石けんの比較では、どちらも一長一短の特徴があり、環境に関して優劣はいえないこと、洗剤や石けんはともに環境への影響が「ない」とはいえないので使いすぎには注意すること、しかし洗剤や石けんは食品残さと同じく負荷原因の一部だから、水環境を守るためには、なによりも使ったあとの水を、未処理のまま河川や湖沼に放流するのを減らすことが大切、ということになりますか。 洗剤や石けんは、どのくらい影響しているのですか。 平成14年度の環境白書によると、生活排水の洗濯からの割合は、有機汚濁の指標であるBODで10%と、台所排水の40%に比べてそれほど大きいとはいえません。洗剤や石けんの使用後の排水が、毎日のように各家庭からかなりの量排出していても、基本的にはそれらは下水処理場で分解されますし、未処理排水が直接河川などの環境中に入っても、分解しているという大前提があります。 それをしっかりと確認するためには、川の水を採取して、いったいどのくらいの洗剤成分が残っているかを測定してみればわかりますね。 日本石鹸洗剤工業会では、これを毎年調査し『環境年報』に公表してきています。その結果は、主要河川というか大きな一級河川では、だいたいどこでも普通の魚が棲む限界レベルとされている濃度よりも10分の1あるいは100分の1以下という程度です。これは、界面活性剤成分の魚への影響は実質的にはほとんどないといえる値です。 ということは、水槽の中のメダカに、洗剤の液を入れると死ぬから洗剤は毒だ、という実験は無意味というか、実際には主要な河川では、ないわけですね。 そうですね。たとえ何であっても一度に大量に排出すれば、生き物に影響を与えてしまいますからね。洗剤に限らず、ものを排出するにもルールがあり、それを守ることでバランスが保たれるわけですから。 水環境の問題は、人口の増加に伴い環境にかかる負荷が増し、分解する量よりも負荷が多くかかって、自然の処理分解システムが追いつかない、バランスが取れなくなったことがあります。あらゆる人間の生活行為そのものが、環境に影響するということですね。 毎日の洗濯で洗剤を使っていると、この排水がどうなるのかも気にはなりますね。次回は、もう少しそのあたりについてお聞きしたいですわ。
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