界面活性剤メモシート(6)その用途は?
洗剤だけじゃない 用途は幅広く大きい
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●幅広く使われている |
界面活性剤は、洗剤にだけ使われているわけではありません。むしろ、洗浄剤以外の用途のほうが広く大きいといえます。
たとえば、ケーキやパン、アイスクリームから豆腐まで、食品の製造にも欠かせません。フィルムや印画紙、フロッピーディスクや紙や印刷にも使われています。化粧品や塗料や合成繊維の製造過程でも使用されるほか、意外なところでは、コンクリートにも使われています。
こうしてみると、界面活性剤のイメージも少し変わりますね。
界面活性剤の用途が幅広いのは、それがもつ働きをそれぞれうまく活かした使われ方がされているからです。 |
●水と油が一緒になると |
牛乳は水の中に脂肪の微粒子が分散している状態、マヨネーズは酢の相の中にサラダ油の微小滴が分散した状態で、これは牛乳や卵に含まれる天然の界面活性剤の働きによるものですが、このような状態だからおいしいのです。
これには、界面活性剤の重要な働き「乳化」という作用が働いています。互いに溶け合わない二つの液体を混ぜ合わせ、一方の液体が他方の液体の中に微粒子状に分散すると乳濁液の状態(エマルション)になります。
水と油を混ぜ合わせることで食品ではおいしくなったり、化粧品や医薬品では使用感が良くなったり、有効性が増したりするので、広く使われているのです。 |
●粉も流体にできる |
分散というのも界面活性剤の働きで、この働きを活用した技術が、さまざまな分野でいろいろに役立っています。界面活性剤を使って微粒子を液体に強制分散させたり、逆に凝集させる技術の応用範囲は大変広く多様なのです。たとえば、プラスチック、ゴム、色材などの分野では、必要不可欠な技術です。
これを大きくまとめると、制約が多くハンドリングがしにくい粉体をスラリーという流体に転換することと、特定の分散状態を作り出して製品の機能を高めること、に大別されます。
粒体をスラリー化すると、どんなご利益があるのでしょうか。 |
●紙もコンクリートも… |
原紙に塗布してアート紙やコート紙をつくるためのカラーに使う炭酸カルシウムは、分散剤の応用によって高濃度化され、輸送の合理化にも役立っています。
また、含水率を減らして塗布後の乾燥時間を短縮したり、紙質の改善がはかられています。
コンクリートの強度は、水の量がちょうどセメントと反応できる量にした時に最大となりますが、その状態では流動性がなく、パイプ輸送もコテ塗りもできないのです。かといって、水を増やせばセメントと反応しない余分の水は、コンクリートの強度をいちじるしく落としてしまうのです。そこで活躍しているのが、流動性を落とさないで水を減らすコンクリート減水剤で、これも界面活性剤の一種なのです。 |