界面活性剤メモシート(5)その性質は?
親油基の長さで決まる…
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●親油基でみてみましょう |
前回の「界面活性剤の種類」では、水に溶けたときに界面活性剤が示すイオンの性質から、4つの種類があることを説明しました。
今回は、界面活性剤の構造から、油になじみやすい親油基に着目してみます。この部分の長さで性質がいろいろに変わり、そこでさまざまな用途がでてくるのです。
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●界面活性剤は油から |
界面活性剤は、パーム油、やし油、牛脂などの油を原料にしてつくりますが、こうした油脂の主な構成成分が脂肪酸です。脂肪酸にはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、などたくさんの種類がありますが、たとえばラウリン酸はやし油の中に44%程度含まれ、パルミチン酸はパーム油に42%程度含まれているといったように、原料によってそれぞれの存在量が決まっています。
昔からの知恵では、牛脂とやし油とを8:2ぐらいでブレンドすると化粧石鹸に適した固さと溶けやすさになるといわれていたのは、経験から知っていたのです。 |
●脂肪酸の構造で性質が
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それぞれの脂肪酸の構造は、一個一個の炭素(C)のつながりの周りに水素(H)が結合した形(下図参照)になっています。界面活性剤の分子模型で、親油基の部分が「CH3-CH2-CH2-…」と示されているのがこれです。全部の炭素の数が、ラウリン酸では12個の長さでつながっています。ミリスチル酸は14個、パルミチン酸は16個、ステアリン酸は18個と、それぞれ長さが違い、それによって違う性質をもつことになるのです。このほか炭素が二重結合した不飽和脂肪酸のオレイン酸も18個です。
セッケンの場合は、洗浄性や泡立ちはC12から14ぐらいがいちばんいいのです。C18だと長さが長くなるので溶けにくく固まりにしやすい、逆に液体石鹸では短いものだけでいいとか、油汚れに強いのは長い方がいいとか、そんなふうに特徴をうまく組み合わせて洗浄剤製品はつくられているわけです。
柔軟仕上げ剤やリンス剤の場合は、陽イオン活性剤が使われていますが、泡立つ必要はないので、もっぱら炭素数としては長いもの(C18とか20とか)が使われます。
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●石油からつくる方法も |
石油から界面活性剤をつくる方法もあります。不思議なことに動植物油からつくる脂肪酸はみな偶数ですが、石油からつくると奇数のものもできて混ざります。
石油系は、炭素の長さを調節してつくり、大部分は用途が多いC12からC15といったものです。 |