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2003年12月15日更新
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参照カテゴリ> #01.社会 #06.CLEAN AGE 

*第41回
(2000年5月調査)

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定年退職後の夫婦の家事と生活


定年で退職後の熟年夫婦50組、100人に聞きました。家事はどうしていますか? 生活は変わりましたか?

第41回クリーン調査は「退職後の夫婦の生活意識調査」として、定年退職後夫が就労せず家にいる夫婦50組(子供、孫などと同居せず夫婦のみが23組、妻がパートまたはフルタイムで有職は13組。)の様子をうかがってみました。

高齢社会に突入した現在、これからさらに増えていくであろうごく普通の熟年夫婦の家事・生活意識は…?

夫も家事参加しているというが…
妻からみた夫の家事は50点
妻にも定年が欲しい…
妻はぜひ話したいが夫はさほどでもない
二分化する夫婦の過ごし方
退職後始めたこと・やめたこと


●夫も家事参加しているというが…

退職後夫が家にいるようになると、当然家事の分担などにも変化が予想されますが、実際はどうでしょうか。1日の家事時間は、夫が平均約60分ですが、これに対し妻の家事時間は夫の4倍近い217分となっています(図1)。


また、夫の8割が「退職後は(自分が)家事に費やす時間が増えた」と思っていますが、妻にしてみると「減った」が3割とあまり多くなく、逆に「増えた」も3割もあって、夫の意識とは少しギャップがあります(図2)。


夫が思っている家事時間の増加は、妻の家事時間の低減には貢献しているとはいえず、家事の中心が妻にゆだねられている実態は変わっていないようです。

しかし、これは必ずしも夫が非協力的だからというわけではなさそうです。退職後の夫の家事に対する意識は、6割が「家事を行なうことに抵抗感はない」と答え、夫も妻も半分以上は「家事は夫婦で分担して行なう方が合理的だ」と思っています。過半数は、少なくとも意識のうえでは、「自分も家事を行なう」ことを受け入れているのです。一方で、「家事は妻が行なうものだ」と思っている人も、夫で4割、妻でも4分の1を占めているということは、家事分担が現実にはそう簡単に割り切れるものではないことを暗示しているようにみえます。「家事が好き」という人は夫では1割ちょっとと少ないものの、妻では4割を占めており、すべてが家事を「負担」と感じているわけではないようですが、「家事には労力が必要」との認識では夫妻ともに9割近くが肯定しています。それを考えると、熟年夫婦の家事は、体力の衰えをお互いにカバーし合い、家事分担の意識のズレを整理する、ということが必要なようです。

過去1か月の間に退職後の夫が行なった家事にはどんなものがあるでしょうか。7割が「食料品・日用品の買い物」「ゴミ捨て」をあげており、6割が「洗濯物干し・取り込み」、以下5割台で「浴室の掃除・準備」「車の掃除」と続き、4割台に「朝食の後片付け」「寝室・居間の掃除」「夕食の後片付け」「布団干し」「昼食の後片付け」と並びます。これらは「家事のプロ」である妻の目からみれば単純作業や力仕事ばかりで、たいしたことではないように見えても、夫にしてみれば「車の掃除」以外はどれも退職前まではあまりやっていなかったことで、それをやるようになったことはやっぱり大変なことだったようです。

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●妻からみた夫の家事は50点

家事の自分の働きぶりに関して、夫の自己採点は退職前は平均26.7点、退職後は48.3点と、2倍の自己評価をしています。妻の自己採点の目はきびしく、退職前は平均75.9点が夫の退職後は73.0点と若干ですが評点が下がっています。

今度は、お互いに相手の家事の採点をしてもらいました(図3)。夫がする妻の家事の評価は、退職後は5ポイントダウンしていますが、それでも平均82.4点と(ご機嫌を取っているのかどうか)高い評価をしています。


これに対し、自己採点が甘く、仕事の全体像が把握できない夫の家事は、ベテランである妻からすれば、いわば「新入社員」。「家事をやりたくてもどう行なえばよいかわからない」という夫が4分の1もいては、会社で「今頃の若いやつは指示待ち族で…」なんてしたり顔で言うのもはばかられますね。妻がする夫の家事採点は、平均で約50点(それでも退職前の30点に比べれば大幅アップ)の評価です。グラフをみればわかるように、おおざっぱな評点しかしていない夫に比して、妻の採点はきめ細かくあたたかいものです。もっとも「0点」というのもありますが…。

そのほか、「夫の退職後の夫婦の家事分担」では、それぞれの家事を、夫が「主に自分でやっている」と思っている割合よりも、妻が「主に夫がやっている」と答えるポイントがすべての項目で低く、家事分担に関して夫婦間の認識にはズレが見受けられます。たとえば、夫婦の家事分担に関して、「昼食の後片付け」を「主として自分がしている」もしくは「2人で一緒にする」と答えた夫は約4割いるのに、妻では2割しかいない、といった具合。

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●妻にも定年が欲しい…

退職後の生活の変化で、1日中家にいるようになって、昼食の問題は小さくないようです。妻にしてみれば、一人だとどうにでもなるものが二人になると手抜きができない、有職妻の場合はお昼の支度をして出かけなければならない、など、毎日のことであれば、こんなことからお互いにもっと話し合っておく余地もありそうです。

「家事業にも定年が欲しい」といった妻の声に真剣に耳を傾けるなら、夫も「妻の家事を手伝う」程度からもう一歩を進め、自立した基本的な生活力は身につけておくことが大切なのかもしれません。

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●妻はぜひ話したいが夫はさほどでもない

夫の定年退職は、夫婦にとっては大きな変化で、それがもたらす影響は、場合によっては生活を根底から考え直すきっかけになるほど重大なものです。

夫婦で一緒に行なっていることは、「時々する」と「よくする」をあわせて8割前後の高率を示しているのが、「買い物に出かける」「お互いの一日の出来事などを話す」です。妻の場合は「孫や子供の世話」というのもこれに加わります。次いで「旅行に出かける」「心配事や悩み事を話す」「将来(老後)のことを話す」となります。

これに対し、一緒に行なうことが理想であり、ぜひしたいと思っていることは、夫妻とも「旅行に出かける」が5割強を示しています。そのほか、妻では「お互いの一日の出来事を話す」「心配事や悩み事を話す」「将来(老後)のことを話す」がいずれも「ぜひしたい」率が42〜48%と高くなっています。ところが、夫の方は同じ項目の「ぜひしたい」率が28〜34%と、妻の思いほどではないようで、ここにも少しギャップがあります。

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●二分化する夫婦の過ごし方

では、退職後の「夫婦の過ごし方」に関して、どのような考え方をしているのでしょうか。夫・妻ともに現在では約7割は「お互いの生活を優先」している人が多数派で、「できるだけ夫婦一緒に行動」「夫婦一緒の行動を優先」している人が夫では26%、妻では32%です。しかし、理想の過ごし方としては、「夫婦一緒の行動を優先」が夫では14ポイント、妻では10ポイントそれぞれアップし、夫・妻とも4割となっているのです(図4)。もちろん、これはどちらがいいとかわるいとかいう問題ではなく、あくまでも当人同士の問題です。


現在「夫婦一緒に行動」と答えている人の9割は、「一緒に行動」を理想としているし、現在「個人を優先」している夫婦では、約8割が「お互いの生活優先」を理想としているのです。その意味の解釈は、すでにそれぞれの考えに従って、理想の過ごし方に近づけた生活を始めている、ともいえそうですし、夫婦のありようや生活習慣は退職したからといっても、そう簡単に変えようとは思っていない、ともいえそうです。

夫婦の生活での裁量権は、夫婦一緒にというのが主流ですが、家事活動の役割分担、家計の分配や管理などは多くは主に妻が握っており、主に夫に裁量権があるのは、高額商品の購入のときくらいです。やはり家のことは妻の方が仕切るということも、退職前と変わらないようです。

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●退職後始めたこと・やめたこと

退職で時間的に余裕ができるようになったこと、あるいは健康維持のため、約8割の夫が新しい趣味などを始めています。散歩、パソコン、旅行、水泳、油絵・水彩画、囲碁、コミュニティ活動など、始めたことは多岐にわたります。妻の方でも、5割(夫より比率が低いのは、妻の場合はそれ以前からすでに始めているケースが多いから?)が夫が退職してから始めたことがあるそうで、その内容は、コミュニティ活動、ガーデニング、散歩、英会話などが上位を占めています。

一方、夫・妻ともに2割の人が退職を契機にやめてしまったものがあると答えています。夫の場合は、経済的余裕がなくなったため、ゴルフや酒席などをやめたりしています。妻の場合は、時間の余裕が減ってしまったため、友人と遊ぶ回数が減り、出かける時間が減った、と答えています。

今回の調査で特徴的だったことは、みなさんがフリーアンサーの設問に積極的に回答を書いてもらったことでした。家事についても役割分担についても、退職後の苦労についても、それぞれ言いたいことがいろいろあったようです。逆に言えば、自分の意見や思いを述べる場所を求めている、ということなのかもしれませんが、そのなかから、いくつか生の声の主だったものを拾ってみました(図5)。これも、妻からの書き込みが夫のそれの倍くらいもあったことを付記しておきましょう。

図5 夫の退職後苦労したこと・工夫したこと(フリーアンサーから)

退職後苦労・工夫したこと(夫回答

退職後苦労・工夫したこと(妻回答)

■単身時代に覚えた簡単料理をベースにTVの料理番組を参考にしながら頑張っている。

■何か手伝わなければと思っているが、よくわからない。言ってくれればいいと思う。

■自分が自由に使えるお金がなくなり、酒・タバコの量が制限された。床屋も1980円の安い所。ビールから焼酎に変わった。市の農園を借りて野菜づくりを始めた。

■退職後の時間の過ごし方に戸惑いがあったが、ボランティア、趣味の延長で有効な時間活用ができた。

■毎日家にいることで妻の方が外出しづらくなったようだ。特に一緒にいなくても構わないのだが。

■3度の食事が手抜きできず、朝昼晩と最低180分は食事の準備にかかる。健康のため外食を減らし手づくりで量は少なくなったが手間は同じなので、主婦に老後はないと感じる。

■夫がほとんど家にいるので私が外出するための用意(夫の食事等)が大変。不平が出ないように家にいるときはなるべく夫に合わせる。

■細かいことに気づく夫なので、家にいるとよけいに見えるようで気が張っている。

■経済的余裕がなくなり、夫が家事をする。2人主婦はいらないので私が外で働くことにした。

■私自身の生活のリズムが崩れる。

■余暇を一緒に楽しめるよう準備。

■食事のレパートリーを真剣に考えるようになり夫婦で健康になった。

■お願いした家事も気をつけないと手抜きをするので、根気強く教えた。今はバッチリ。

■退職と同時期に子供が結婚し出ていき、2人きりになった。これからも2人で生活していくので、できる限り仲良く、またお互い干渉しないで理解し合ってやっていこうと思っている。

■一緒の時間が多くなったので、それぞれ個人の時間、趣味に干渉しないように少し離れる時も必要。

■昼食をつくるのが面倒。なんとなく1日中家にいるのでうっとうしい。

■友達を家によんでお話できなくなった。外にいても時間がとても気になるようになった。

みなさんいつまでも仲良く、楽しく、お元気で…。


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