日本石鹸洗剤工業会
洗たく科学専門委員会
委員長 山田 勲
近年、アパレル業界ではファストファッションと呼ばれる低価格かつ流行に敏感な衣料品ブランドが台頭し、若年層を中心に幅広い支持を集めています。2016年に実施された大学生を対象にしたある調査では、購入金額が1着5千円未満の「パンツ・スカート」「シャツ類」「セーター・カーディガン」を、2年以上着用するとの答えがそれぞれ約3〜4割ありました(繊消誌 Vol.57(6), 385 (2016) )。比較的安価な衣類でも、気に入ったものは長く着続けたい人が多くいることがうかがえます。
一方で、繊細な素材やデザインを取り入れた衣類が増えたため、長く着用するには、毛羽立ちや型くずれなどをいかに防ぐかが重要です。日々の洗濯では、洗濯機の標準コースで洗う衣類と、手洗いコースで洗う衣類をきちんと仕分けして、洗剤も適切に使い分けることをおすすめします。
基本的に、汚れの多い普段着や、ニオイが気になる靴下や肌着などは一般的な洗濯用洗剤が適しています。あまり汚れていない衣類や、カーディガンのような上衣は、用途に毛や絹を含む中性の洗濯用洗剤で洗っても汚れやニオイは落ち、さらに毛羽立ちが抑えられ、衣類のヨレや縮みなども発生しにくいです。用途に毛や絹を含む中性の洗濯用洗剤を使うことで、衣類の風合いを長く保つことができるため、新品の衣類を初めて洗うときやお気に入りの衣服で上手に使用していただければと思います。
洗剤の使い分けと洗い方で衣類の風合いは変わります
合成繊維の一種で、やわらかさが特色のリヨセル100%の
デニム風シャツで比較してみました。
▼この写真はシャツの袖の内側を撮影したものです▼

<写真左>中性の洗濯用洗剤(用途に毛・絹を含むもの)を使い、洗濯機の手洗いコースで洗った場合。シワがほとんどなく、手を入れたときに、なめらかでやわらかい感じがします。
<写真右>一般的な洗濯用洗剤(綿・麻・合成繊維用)を使い、洗濯機の標準コースで洗った場合。手を入れたときに、ややゴワゴワしてかたい感じがします。
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