★「固形」から「液体」へ |
お風呂で身体を洗うもの、と聞いて思い浮かべるのは、固形石鹸と液体ボディソープのどちらでしょうか。その答えは、世代によっても違ってくるのかもしれません。
昔は、固形石鹸で身体を洗うことが普通でした。1960年代の世相を写した有名なフォークソングには、石鹸をカタカタ鳴らしながら銭湯に行く様子が歌われています。60年代〜70年代にかけては、まだ内風呂のない家も多くありましたが、この頃すでに石鹸の歴史には大きな潮流変化が訪れていました。
1930年代に登場した液体シャンプーの台頭によって、それまでは身体だけでなく洗髪にも使われ、主役として活躍していた固形石鹸(浴用、洗顔石鹸を含む)の生産ピークは、1960年代にはすでに通り過ぎていたのです。
また、身体洗浄剤の販売推移をみると、1990年代後半頃に、浴用固形石鹸と液体ボディソープの販売量が半々となり、以降は浴用固形石鹸が縮小する一方、それに代わるように液体ボディソープが伸びていったことがわかります。
今では、液体ボディソープが若い世代を中心に支持を得て、多数派を堅持しています。
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★最初のボディソープが登場 |
では、液体ボディソープはいつ頃生まれたのでしょうか。一番古いとされる商品は、1972(昭和47)年に牛乳石鹸が発売した「マイホープ・ボディバブルス」のようです。
その後1984(昭和59)年に、花王の「ビオレU」が誕生します。容器の「石けんにかわるビオレU…入浴、シャワー、洗顔に…新しい習慣」というフレーズからも、当時はまだ液体ボディソープに、馴染みが薄かったことが伺えます。しかし、徐々に液体ボディソープの製造、販売は増えていきました。80年代後半からは、植物性原料の「資生堂シャワーソープ(1989(平成元)年)」やライオンの「植物物語ボディソープ(1993(平成5)年)といった商品が次々と登場し、液体ボディソープの使用も浸透していきます。
その背景には、浴室にシャワーがつき、季節によってはシャワーだけで済ませる人が増えてきたという事情もありました。
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★ボディソープの成分と特徴 |
液体ボディソープは、固形石鹸のように、小さくなると泡立ちが悪くなることもなく、時間がない時にも扱いやすく便利、という点が受け入れられて定着していった面もあるようです。
成分では、石けん系のものと、石けん以外の界面活性剤系のものに大別され、石けん系は固形石鹸と同じように、弱アルカリ性でさっぱりとした洗いあがりになります。一方、界面活性剤系は中性〜弱酸性のものが多く、しっとりした洗いあがりを特徴とする商品が多いようです。
主に、固形石鹸はアブラヤシ油、牛脂のような固体油脂からつくられるのに対して、液体ボディソープ(石けん系)はヤシ油などの液体油脂から製造されます。
また、洗浄という本来の機能に、それ以外の機能を付加した商品も、多くみられます。殺菌剤を加えて汗や皮脂による匂いを抑えたり、メントールなどの清涼剤を加えることなどは、比較的古くから行なわれてきました。暑い季節に湯上がり肌のべたつきを抑えるパウダー配合タイプや、ウォータープルーフの日焼け止めもしっかりと洗浄できる夏向けの商品などもあり、ニーズや季節によって商品を使い分けられるようになってきています。
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★お風呂でストレス解消にも |
また「豊かな香り」を大いに楽しむことができるのも、ボディソープの魅力のひとつでしょう。爽やかなシトラス、ハーブの香りや、甘いフルーツ、花の香りなど、個々の好みにあった香りを選んで楽しむ傾向がだんだんと強くなっています。
近頃では、バスタイムに好きな香りをかぐことによるストレス解消や、リラクゼーション効果を期待する人も少なくないようです。
洗浄に際し「肌に優しい」ことも、常に求められる条件として定着しつつあります。特に皮膚が敏感な人向けに、無香料・無着色で、皮脂を取り過ぎないように配慮したマイルドタイプのものも発売されています。
こうしたスキンケア発想の商品を使う場合でも、洗浄後の皮膚は水分が蒸散し乾燥しやすいため、風呂上がりにはボディ用の乳液やクリームでケアをするのがおすすめです。
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★薄めないでください |
液体ボディソープを使っている人のなかには、ボトルに水を入れて薄めた状態で使っている人があるかもしれません。
容器内の残りが少しになった時や、節約の意識からもついつい薄めて使う、が習慣的になってはいませんか? これは、容器内に雑菌が繁殖したり、成分が薄まり泡立ちや洗浄効果が減少したりする原因になりかねませんので、やめましょう。
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