★洗剤の製造と法律 |
洗剤(身体・台所・洗濯・住居用など)を取り巻く法規制は、原料や製造まで含めると多種多様です。関連する法律を数え上げれば、その数は20もあります。製品ライフサイクルのそれぞれの段階で、安全性の確保、環境への配慮、製造者による製品の品質保証、消費者保護などの観点から、幅広く規制が行なわれています。
その製造ならびに販売の過程で、メーカーを規制するものには、労働安全衛生法、家庭用品品質表示法、景品表示法、環境基本法、容器包装リサイクル法、毒物及び劇物取締法、化審法、化管法、製造物責任法(PL法)など、さまざまな観点からの法律があります。
これらの関連法のうち、ここでは法律が洗剤をどう捉えているかを知るために、その条文中(政省令を含む)に直接「洗剤」または「洗浄剤」をとりあげ、固有の規定をもつ主要な法律について、ざっと眺めてみることにしましょう。
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★家庭用品品質表示法では |
消費者の観点に立ってみた主要な法律が、家庭用品品質表示法(品表法)です。これは、家庭用品に関する表示を適正化し、消費者保護を目的とした法律で、一般消費者が製品を購入・使用するさいに必要な情報の明記を義務づけています。
その主なものは、家庭用品の用途や使用量の目安、使用上・取り扱い上の注意、品質に関する表示などで、製品の見やすい場所に直接またはラベルなどに表記することが必要とされています。
この法律は、1962(昭和37)年の制定で、対象品目が繊維製品、合成樹脂加工品、電機機械器具、雑貨工業品に分けて指定されています。洗剤はこのうちの「雑貨工業品」のジャンルで、「合成洗剤」「洗濯用または台所用の石けん」「住宅または家具用の洗浄剤」「衣料用、台所用または住宅用の漂白剤」などと品目を分けて規定しています。
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★「合成洗剤」と「石けん」 |
このように、「合成洗剤」と「石けん」を明確に分けて定義し、区分しているのがこの法律の特徴です。その定義によれば、「主たる洗浄作用が純石けん分以外の界面活性剤の界面活性作用によるもの」が合成洗剤としています。そのうえで、「主たる洗浄作用が純石けん分の界面活性作用によるもの(純石けん分以外の界面活性剤を含有しない場合は「石けん」、含有する場合は「複合石けん」と呼び区別する)」が石けんとなっています。
こう区別したのは、法律制定当時の社会背景も影響した、といわれています。
ちなみに、科学的に見れば、石けんも多種類ある界面活性剤のひとつで、石けんだけを他の界面活性剤と切り離して分けて扱っている法律がある国は、世界的に見ても日本だけです。
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★食品衛生法では |
食品衛生法では、その条文中には、「洗浄剤であって野菜若しくは果実又は飲食器の洗浄の用に供されるもの」は、その適用を受けると明記されています。そして「脂肪酸系洗浄剤」と「非脂肪酸系洗浄剤」の2つに区分され、成分規格と使用基準が設けられています。
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★食家庭用品規制法では |
もうひとつ、保健衛生上の見地からの規制として、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律があります。
ここでは17の物質が指定されています。このうち、洗浄剤等に関連する物質として、酸(塩酸、硫酸)及びアルカリ(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)があります。これらの物質を含む洗浄剤等の家庭用品については、酸の量として10%以下、あるいはアルカリの量として5%以下のように、厳密にその使用量・濃度が少なく低く設定されています。
そのうえで、漏れたり、破損事故を起こさないよう、容器の強度についても決められています。
なお、この法律の上限規制を越える濃度のものについては、「毒物及び劇物取締法」の適用対象となります。
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★JISでは |
また、JISマークでおなじみの、工業標準化法と日本工業規格では、洗剤・洗浄剤に関連するものとしては、品質の規定として、固形洗濯石けん(K3302)、粉末洗濯石けん(K3303)、台所用合成洗剤(K3370)、洗濯用合成洗剤(K3371)をそれぞれ規格として決めています。また、ほかに試験方法についても規定(K3304、K3362、K3363)されています。
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