★洗濯で汚れを落とす条件 |
衣類などにつく汚れには、はたけば落ちる汚れや、水で洗い流しただけで落ちる汚れもあります。
しかし、いちばん多い皮脂汚れなどは、水洗いだけでは簡単には落ちません。洗剤が洗濯物の汚れをきれいに落とすことができるのは、こんな落ちにくい油汚れも、界面活性剤の分子が包み込んで衣類の表面から引きはがし、洗濯液中に分散させ、しかも再付着を防いでいるからです。
洗剤が、汚れを落とす役割を充分に果たすためには、いくつかの条件が整う必要があります。まず水という媒体、次に洗浄力を最適に発揮できる適量の洗剤、洗濯機の洗浄工程での機械的な力(洗濯機による撹拌)で、この三つのバランスが大切です。
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★汚れ落ちの基本1・洗剤の濃度 |
汚れを落とすためには、洗濯槽内の洗剤溶液が、洗濯に適する濃度になっていることが必要です。洗剤の中の界面活性剤がある程度の濃度以上になるときに形成される集合体をミセルと呼び、そのときの濃度を臨界ミセル濃度(CMC)といいます。
この集合体は、油汚れを包み込み、洗濯水中に安定に分散させ、また繊維に汚れが戻ることも防ぎます(再汚染防止)ので、汚れの除去に有効に働きます。洗濯物自体にも界面活性剤は吸着しますし、汚れの量に応じて必要なミセル量も変わるので、適切なミセル濃度を保つため、洗剤はそのCMCよりも少し高めの濃度となるように、使用量が設定されています。洗剤を控えめに使うと、ミセルが形成されなかったり不足して、汚れ落ちが悪くなったり、再汚染しやすくなってしまいます。洗剤のCMCは各洗剤の設計によって異なりますので、洗剤ごとに決められた使用量の目安に従って使いましょう。
また、使用量の目安に対し、いくら洗剤を増やしても、ミセルの量は充分にあるので、洗浄力はさほど変わりません。洗剤量が多過ぎると、洗剤がムダになるだけでなく、そのためにすすぎ回数を増やせば水もムダになります。これが「適量を」という意味です。
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★汚れ落ちの基本2・浴比 |
浴比は、1キログラムの衣類を洗うのに使う水の量(リットル)で表わされます。日本の洗濯は、水の中で衣類を撹拌する方法が一般的なので、浴比が低過ぎると、洗濯物に対して水が不足し、衣類が洗濯液から飛び出し、洗いムラができたり、洗剤中の界面活性剤が洗濯物に吸着して水中にできるミセルの量が減った分、洗剤の効果を発揮できず、汚れ落ちが悪くなってしまいます。
一方、浴比が高過ぎて、大量の水の中で少ない洗濯物が泳ぐような状態になると、洗濯物に機械力が伝わりにくくなり、水がムダなだけで汚れ落ちが悪くなることもあります。
最近の洗濯機では、少ない水量で大量の洗濯物が一度に洗えるよう大型化の傾向にあり、低浴比化が進んでいますので、きれいに洗えているか注意が必要です。
その上、「節水」や「洗剤半分」といった機能も登場してきています。水が少な過ぎると、洗濯物を安定に液中に保持できなくなりますし、また、洗剤の使用量を半分にすることは、洗浄力を落とすことに直結することになります。このような洗濯で、きれいになったと思っても、洗濯は何回も繰り返すということを忘れてはなりません。10回も洗えば、きっと歴然とした差になることでしょう。
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★洗剤の使用量は洗剤の表示で |
節水型の洗濯機の究極は、水の少ない洗濯法「たたき洗い」をとるドラム式です。たたき効果を発揮させるためには、必然的に少ない水で洗うことになります。
ドラム式洗濯機を含め、節水型の洗濯の場合、従来の水量に基づいた洗剤量では、ミセルの量が少なくなり、汚れ落ちが不充分になります。そこで、洗剤の設計や使用量に関しても、洗濯機の変化に応じ、節水タイプを考慮した見直しが行なわれているのです。
洗剤の使用量を決める際、洗濯機の指示による場合には、洗剤量は「スプーン何杯」といった指示がでますが、洗剤ごとに使用量が異なりますので、本当に必要な洗剤量になっているか留意が必要です。
いちばん問題が少ない方法としては、各洗剤に表示してある使用量を守ることです。 |
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