★洗剤に使われている界面活性剤 |
界面活性剤には、とても多くの種類がありますが、洗剤の主成分として使用するための条件を考慮していくと、使われるものは、かなり絞られてきます。
親油基と親水基からなる分子構造をもつ界面活性剤は、親水基が水に溶けたときに、水中での挙動が何イオンになるか、その違いで4種類に分けられます。
このうち、主として洗剤に使われているものはといえば、陰イオンになる陰イオン活性剤(アニオン系)と、イオンにならない非イオン界面活性剤(ノニオン系)の二種類、といってもいいでしょう。
ここでは、洗濯用洗剤が高い性能を発揮するために、どのように設計されるか、その一端をながめてみることにしましょう。
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★主な成分とその機能 |
洗剤の主成分である界面活性剤には、界面張力を低下させて、付着した汚れを乳化・分散作用によって落とし、落ちた汚れは再付着させないという、たいへん優れた機能があります。
これに加えて、より高い洗浄効果を上げるのを助けるために配合されるのが洗浄補助剤(ビルダー)です。
毛糸・おしゃれ着用洗剤では、繊維を傷めないことが大切なので、使われませんが、界面活性剤の汚れ落としを促進し、助けるものものとして、炭酸塩などのアルカリ剤や、ゼオライトなどの水軟化剤があげられます。また、これとは別に成分として加えられることが多いのは、酵素、蛍光増白剤、漂白剤などです。
とくに酵素では、たんぱく質汚れを分解する働きをもつプロテアーゼが、よく使われています。それは、衣料品の汚れは、人間のからだと接触するため、皮脂汚れや分泌物などが多く、これらを落とすために効果的だからです。
こういった成分を組み合わせて、さまざまな特長を持つ洗剤が設計されていますが、実は粉末洗剤の大きな利点は、こういった洗浄補助剤や酵素などを界面活性剤と合わせて配合するのに適している、ということです。
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★粉末と液体とでも違いがある |
“洗剤といえば粉末”という状況は、近年変わりつつあります。2008年は、液体洗剤の割合が2割近くに増えました。
これには、洗濯機が節水型になり、より溶けやすさを求める消費者ニーズや、部分汚れにも直接つけやすい液体ならではの利点も、その背景にあるといわれます。
粉末洗剤と液体洗剤、その違いについても、みてみましょう。
現在、粉末洗剤では、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)などのアニオン系が中心になっていますが、液体洗剤ではアニオン系のほか、ノニオン系のAE(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)も、ともに使われています。
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★その性能向上への努力 |
その理由は、LASは粉末化に向いた性質をもっており、AEは液状化に適しているからです。
粉末洗剤で使われている洗浄補助剤や酵素は、液体洗剤ではその配合がむずかしい、という事情がありました。
そこで、液体洗剤では、液状化が容易であり、カルシウムなどの硬度成分に影響されないAEが多く使われることで、粉末洗剤とほぼ同等の洗浄力を持たせているのです。
一方、洗剤の性能向上のためには、やはり酵素の働きは重要です。
現在では、液体洗剤の中で安定的に配合できる酵素の開発も進み、実用化されています |
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