★原料から界面活性剤をつくる
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洗濯用合成洗剤の製造工程は、界面活性剤の製造から一貫して行なう場合と、界面活性剤を別途調達して加工する場合と、ふたつあります。
ここでは、洗濯用粉末コンパクト洗剤を、一貫生産する場合を例にしてみましょう。
合成洗剤に使用される界面活性剤には、石油からつくられるものと、動植物油脂からつくられるものがあります。
石油からつくられる界面活性剤原料には、アルキルベンゼン、アルファオレフィン、高級アルコールなどがあげられます。また、動植物油脂からつくられるものには、高級脂肪酸や高級アルコールがあります。これらの原料から界面活性剤がつくられます。
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★硫酸化と中和の工程を経て
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アルキルベンゼンや高級アルコールなどは、硫酸化と中和という二段階を経て、界面活性剤になります。
硫酸化(スルホン化)は、界面活性剤原料に硫酸基を化学的に付加することで、中和とは水酸化ナトリウムなどにより酸をナトリウム塩にすることです。
たとえば アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)は、アルキルベンゼンを無水硫酸と反応させアルキルベンゼンスルホン酸に変換し、さらに中和しナトリウム塩にすることで得られます。
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★ビルダーなどを配合する
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合成洗剤は界面活性剤が主な成分ですが、それだけでできているわけではありません。
界面活性剤に、アルカリ剤、水軟化剤などのビルダー類(洗浄力を増強する助剤)を加えます。さらに、それに酵素や蛍光増白剤、漂白剤、再付着防止剤などの性能向上剤を加えることもあります。
これらは、製品の種類や特色の出し方などによって、必要なものが選択されています。
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★噴霧乾燥そして撹拌造粒へ
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洗剤原料を混合した液状のものが噴霧乾燥塔内に霧状に噴霧され、同時に熱風炉から吹き出す熱風で乾燥させ、粉にします。
この粉末は密度が低いため、攪拌などによる造粒工程を経て、コンパクト洗剤に適した高密度な粒子にします。
さらに造粒した粒子をふるいにかけ粒度を調えた後、充填、箱詰め、包装されて、工場から出荷されていきます。
なお、熱やアルカリに弱い酵素や漂白剤などは、造粒後に添加されます。
現在主流になっているコンパクト化技術は、洗剤の使用量を減らして洗浄力を上げ、省資源・省エネにも対応する画期的なものです。
日本がリードすることで、世界の主流になったこの技術も、最近は単に洗剤粒子の密度を高めるだけでなく、低温での溶解性を改善したり、少量で効果を発揮する界面活性剤を活用するなど、さらに進化してきています。
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