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2014年3月15日更新
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*シリーズ お洗濯の科学

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シリーズ お洗たくの科学

⑤ 洗たく用洗剤の環境対応のあゆみ

 洗たく用合成洗剤は、従来の牛脂やヤシ油からなる石鹸に代わり、1950年代から電気洗濯機とともに普及してきました。しかし1960〜1970年代に河川の泡立ちや湖沼の汚濁が顕在化すると、洗剤が原因だとして大変な逆風にさらされます。実際にはさまざまな要因がありましたが、業界は真摯に成分改良などに努め、世界に先駆けてこうした問題に対処しました。現在は、洗浄性能や安全性がより高く、より少ない量で使える洗剤が主流です。


界面活性剤の生分解性の改善 1960〜1970年代

 自然界では、有機物を微生物が無機物に分解する、「生分解」による自浄作用が働いています。初期の洗剤に使われていた界面活性剤ABSは、分岐鎖型の構造のため生分解されにくい欠点がありました。

図1. ABSからLASへの転換 ※イメージ図図1. ABSからLASへの転換 ※イメージ図

 それもあって、1960年代初頭から欧米や日本国内で河川が泡立つ現象が社会問題化しました。業界ではこの問題に対し、生分解性に優れた直鎖型の界面活性剤LASへの転換を図り、1972年までに家庭用洗剤における切り替えを完了しました。

洗剤ビルダーの無リン化 1970〜1980年代

 1970年代は、下水道などの汚水処理設備がまだ充分に整っていませんでした。生活排水や肥料に含まれるリン・窒素・炭素などの有機汚濁物質が自然界に排出されて、とくに入江や湖などで富栄養化現象を引き起こしました。
 当時の粉末洗剤には洗浄助剤としてリン酸塩が含まれていましたが、その量は排出されるリン源のうちの約1割程度でした。抜本的な改善への寄与は小さいとみられましたが、業界は環境への排出抑制に対応し、リン源を減らすべく1975年から自主的に配合規制をはじめて低リン化を図りました。その後、1985年までに無機物のゼオライトに変更して、無リン化を達成しています。

1983年に厚生省が洗剤の安全性について発表

 一方、急速に普及した合成洗剤の安全性を疑う声がありました。当時の厚生省が国内外の学術研究を集大成した1983年に「洗剤の毒性とその評価」を発表し、疑う声を公式に否定しました。業界としても、安全性の検証に継続的に取り組んでいます。

コンパクト洗剤の開発 1980〜2000年代

 1980年代には、粉末のコンパクト洗剤が登場しました。粒子を圧縮する技術や、酵素の配合など洗浄効率を高める工夫により、洗剤の容積は約1/4まで少なくなりました。また、計量スプーンを付けて使い過ぎを防ぎ、環境への負荷を減らすことにも取り組みました。1970年代から普及しはじめた液体洗剤も、21世紀に入ると濃縮化され、超コンパクト製品が発売されます。
 このコンパクト化によって包装材料は半減し、洗剤の1回あたりの使用量が減るとともに、環境負荷低減にも努めています。

図2. 洗剤のコンパクト化

図2.  洗剤のコンパクト化

洗たく用洗剤はさらなる環境配慮へ

 洗たく用液体洗剤は、2011年に粉末洗剤を販売量で追い抜きました。液体タイプの伸張とともに、詰め替え品の普及もすすんだことから、使用後に出るごみの減量化に成功しています。さらに、近年開発された「1回すすぎ」の洗剤は、洗たくで使う水と電力の節約にも貢献する製品です。


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