人の体内に消化酵素があるように、酵素は自然界の動植物からつくられる触媒の一種です。皮脂や垢などのタンパク質汚れを落とす効果に優れているため、1970年代後半頃から、プロテアーゼをはじめとする酵素が粉末洗剤に使われはじめました。もともと液体洗剤への配合が難しいとされてきましたが、技術開発がすすむにつれて採用が広がり、今やほとんどの洗たく用洗剤に酵素が配合されています。ただし、酵素(プロテアーゼ)入り洗剤は、タンパク質からなるウールやシルクなどの動物性繊維には適しません。これらの衣類には、酵素(プロテアーゼ)無配合のおしゃれ着用洗剤をお使いください。
<プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)>
古くから洗たく用洗剤に使われている代表的な酵素で、垢汚れや血液、食べこぼしなどのタンパク質汚れを直接分解します。タンパク質には繊維と汚れの結びつきを強める作用もあるため、洗剤にプロテアーゼを配合することで、ほかの汚れも落としやすくなり、洗浄力が高まります。
<セルラーゼ(セルロース分解酵素)>
木綿の単繊維1本1本の内部にあるすきま(非結晶質)に働きかけ、繊維の奥深くに入りこんだ汚れを除去しやすくします。これにより、衣服が黒ずむのを防いだり、白さや色合いを保つ効果もあります。
<リパーゼ(脂質分解酵素)>
皮脂や、食品に含まれる脂質を分解するほか、界面活性剤の洗浄作用のひとつである乳化作用を促進します。衣服の襟や袖口についた頑固な汚れや、食べこぼしなど、シミになりやすい汚れに有効です。
<アミラーゼ(デンプン分解酵素)>
お米やカレーなどの食品に含まれるでんぷん質を分解します。食べこぼしによる汚れやシミに有効です。
図2. 酵素はそれぞれ異なる汚れに作用する
図3. セルラーゼのはたらき
時代のニーズによって、洗剤の配合も変化
近年、日本人が好む白色のニュアンスが「青みの強い輝くような白さ」から、「生成りや自然な白さ」へと変わってきたと言われています。白物衣類の白さを保つには、蛍光増白剤を配合した洗剤が効果的ですが、生成りや淡い色の衣類を洗うニーズとともに、蛍光増白剤を配合していない洗剤も増えました。また、洗たく物を部屋干しする人が多くなり、漂白剤入りの洗剤、抗菌防臭成分入りや、芳香性の強い洗剤・柔軟剤の需要も高くなっています。 |
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