<浸透湿潤作用– 図3>
洗たく用洗剤に使われる界面活性剤には、洗浄に寄与する重要な働きがいくつかあります。浸透湿潤作用、乳化・可溶化作用、分散作用、再汚染防止作用などです。
各作用のメカニズムをみると、界面活性剤が、水と油のように異なる物の境界面(界面)に吸着して、界面の性質をさまざまに変化させていることがわかります。
図3. 浸透湿潤作用のメカニズム
<乳化・可溶化作用– 図4>
皮脂などの油汚れを水に散らばらせて、混じり合った状態に保つのに有効な作用です。
油が分離した水に界面活性剤を加えると、その分子が油と水の界面に集まります(①)。界面からあふれた分子は、親油基同士を内側にして集合体をつくり、油を取り込んで微粒子化します(②)。表面が親水基で覆われた油は、水中に混ざるようになります(③)。
図4. 乳化・可溶化作用のメカニズム
<分散作用– 図5>
ススなどの親油性の固体粒子汚れをばらばらにして、水中に分散した状態に保つのに有効な作用です。
固体粒子が浮いた水(①)に界面活性剤を加えると、その分子の親油基が固体粒子に吸着します(②)。界面活性剤の分子に取り囲まれた固体粒子は、外側を覆う親水基の働きで、水中に分散します(③)。
図5. 分散作用のメカニズム
<再汚染防止作用– 図6>
衣服の黒ずみを抑制するのに有効な作用です。界面活性剤の分子に取り囲まれた繊維や汚れの表面には、反発力が生まれます。お互いに近づこうとしないので、水中に分散した汚れが再び繊維に付着するのを防ぎます。
図6. 再汚染防止作用のメカニズム
界面活性剤は濃度が重要
洗たく液中の界面活性剤がある濃度に達すると、その分子は親油基同士をくっつけて集合体(ミセル)をつくります。ミセルは、内側の親油基に油汚れを取り込む性質があるので、ミセルが増えると洗浄効果も高まります。使用量の目安に従って洗剤を使えば、ミセルがつくられる理想的な界面活性剤濃度が得られ、洗浄力が充分に発揮されます。 |
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