洗たくは、人々が暮らしのなかで編み出した古くからの知恵です。シュメール人が遺した紀元前3000年代の粘土板には、すでに石鹸らしきものの記録があり、紀元前2000年頃の古代エジプト人は、湖から採った炭酸ソーダで洗たくをしたといいます。奈良時代の日本では、サイカチ豆のサヤやムクロジの実などを洗剤がわりにしました。

炭酸ソーダの水溶液はアルカリ性で汚れを溶かしやすくし、サイカチ豆やムクロジには、起泡性と洗浄力があるサポニンという成分が含まれます。昔から人は科学の力をうまく利用して、衣服を洗い大切にしてきたのです。
日本の家庭に石鹸が広まったのは明治の後半からで、洗濯機は1960年代以降でした。今では、飛躍的な進歩をとげた多機能な洗剤や全自動洗濯機が普及しています。その一方で、洗たくの知識はもう不要とばかりに忘れられがちですが、原理を科学的に理解しておくと、日々の洗たくがより効果的に行なえるようになります。
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