洗剤・石けん公正取引協議会(以下、公取協という)は、日本石鹸洗剤工業会に事務局をおき、消費者に誤解を与えることのない業界製品の包装や表示を行なうため、自主的な取り組みをしています。
1999年には、洗剤の除菌表示について検討するワーキンググループを設置し、基準や除菌試験方法の検討をすすめてきました。景品表示法にもとづいて、行政の承認を得て公正競争規約を策定し、業界の共通ルールとするためです。
2006年に試験方法が承認された台所用と住宅用につづき、昨年2013年10月に、洗濯用洗剤の試験方法の承認が得られ、公正競争規約への追記が完了しました。
なぜ除菌基準の統一化が必要だったのか
ここ十数年の間に“除菌”を訴求した洗剤が多数発売されるようになり、当初はメーカーごとに定義や根拠の示し方に違いがありました。これを受けてワーキンググループでは、除菌の定義・試験法・基準を統一する検討を開始しました。
洗剤の使用による“汚れ落ち”は視覚で、“消臭”は嗅覚である程度確認ができますが、“除菌”の効果は五感で捉えることができません。消費者にはわかりにくく、表示を信用するほかないということがポイントでした。はじめは、統一より各社の責任で訴求すべきだとの意見もありましたが、議論を重ねた結果、「業界として確固たる統一基準をつくり、除菌の効果のあるなしを容易に判別できるようにすることが重要だ」との方向性が明確になりました。
その後、『「除菌」とは、物理的、化学的又は生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を、有効数減少させることをいう*1』と定義しました。
*1:ここでいう細菌には、カビや酵母などの真菌類は含まれません
基準をクリアした洗剤のみ「除菌」表示ができます
次に、台所用洗剤、住宅用洗剤、洗濯用洗剤の3種に関して、除菌効果を判定するための除菌活性試験方法および除菌を訴求するための基準、また除菌表示のあり方について検討していきました。そして、公取協が認定した試験機関で除菌試験を実施し、基準をクリアすれば製品に「除菌」と表示できるようにしました。ここでいう基準は、『2種類の試験菌種(大腸菌、黄色ブドウ球菌)それぞれに対し、除菌活性値が2以上』であることです。これは、この基準を満たした製品は、対照試料(水に抗菌効果のない界面活性剤を加えたもの)に対し生菌数を1/100 以下に減少させる能力があることを意味します。
試行錯誤のすえに洗濯用洗剤の除菌試験方法を確立
除菌試験方法は、洗剤の用途に合わせてそれぞれ開発しました。洗濯用洗剤は、台所用および住宅用よりも複雑な手順や装置が必要で、策定までにより多くの年月を要しました。
公的な試験方法として認められるためには、複数の異なる試験機関で同等の結果が得られ、また実際の使用場面での効果と試験で得られた結果に高い相関がなければいけません。実際の使用場面での検証には、洗濯機と実際に着用した衣類を用いますが、たとえば靴下でも、右足と左足で菌数が大きく違ってくるなど、サンプル集めも大変でした。また、最も苦労したのは、試験機関によって異なる結果が出てしまい、原因がわからない状況に陥ったことです。複数の試験機関から協力を得ながら、2年かけて様々な観点から調査した結果、試験に使う布の前処理の違いが原因であると判明しました。そこで、試験に使う布の前処理方法を厳密に規定し、遂には異なる試験機関で同等の結果が得られるようになりました。2013年に最終的な承認が得られるまで時間がかかりましたが、充分に検討を加えたことから、再現性が高く、実使用の場面とも高い相関のある除菌試験方法が策定できたと考えています。
また、洗濯用洗剤の除菌試験を行なう公認試験機関の最初の認定が今年4月に実施されました。詳しくは、除菌表示基準の概要、各洗剤の除菌試験方法とともに、こちらのページに掲載しています。
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