環境や安全という大きな問題に対して、多くの人は、いきなり行動を起こすことはできません。何かしたいと思っていても、どうしたらいいかよくわからない。その一方で、成熟した社会では、人は少なからず利他的になります。たとえば、「私の家にはお年寄りや子供がいるので、私が使う製品は、みんなにとっても安全安心なものがいい」と考えるのも利他的です。成熟がすすむほど、「私が幸せなだけではなく、周りの人や、私に見えない人たちの幸せにも貢献できたら、私はもっと幸せ」と感じるのです。
そうした顧客の思いに応えるためにも、企業は機能的な価値だけをつきつめるのではなく、より社会的な価値に向かって動いていく、ということがカギになります。
また、顧客が製品の価値を体験した結果、「また体験したいな」と思い実行することによって、世の中が良くなり、企業も利益を得るというのは、非常にいいサイクルです。これは、企業と顧客が価値を共創していくことでもあります。このサイクルをつくり出せるような製品デザインは、今後も有用だと言えるでしょう。 |